2024年04月19日( 金 )

施行から3年、機能性表示食品制度の現状

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 2015年4月の施行から3年が経過した機能性表示食品制度。特定保健用食品 (トクホ)、栄養機能食品につぐ新たな制度として、トクホ並みの表示ができ、届け出が簡便で低コストなことから、大手・中小企業から届け出や公表された品目数は1,500を超えている。しかし、施行以降、市場が拡大したように感じない。

 もともとは安倍首相が発表した「成長戦略」として、サプリメントなどの健康食品や農産物などを対象に健康への効能・効果を表示することを認める方針としてつくられた制度のはずだったが、蓋を開けば公表のハードルが年々厳格化している。
 業界関係者によれば、どれだけ時間がかかるかわからないことや、公表されていた商品の関与成分が、疑義などで今では通らず、公表される保証がないこと。また、簡便性が特長だったのが、学者や有識者、消費者団体からの厳しい制度設計を求める声により、届け出に必要な資料が増え、委託コストが増加したという。中小企業からは設備投資や、販売事業計画を立てるのが難しいという声も聞かれる。

 届け出や公表をしている販売企業に聞くと、「販売促進のため」という理由のほかに「届け出・公表したのは表示ができるという担保が欲しかった」や「いわゆる健康食品のままだと行政に叩かれるから」「以前、表示で行政処分を受けそうになったので届け出をした」など、機能性表示食品制度を「成長よりも企業防衛」として考えているとの声が多かった。

 また昨年から、機能性表示食品の届け出をしている15社以上の企業が、景品表示法による行政処分を受けている。許可されている内容以上の表示によるケースが多かった。
 ある通販企業は「同じ関与成分で公表された商品が増え、競合が多いことから、過剰な表示をしなければ売れないのが現状」と話す。そうした状況もあってか、今年は大手企業を中心に、販売中止や終売を理由に届け出の撤回が相次いだ。今年は昨年よりも公表件数が減少していることもあり、制度離れが始まっている感もある。
 こうした状況になっていることは、行政だけの責任ではない。今後、この制度を当初の目的だった成長戦略のための施策に戻すため、業界全体でいかに向き合うかを考えなければならないだろう。

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