2024年04月24日( 水 )

祝・筑紫野市新庁舎完成!市民のニーズに応えて機能を集約 防災機能の強化で安全・安心の市庁舎へ

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筑紫野市の新たなシンボル

 筑紫野市が2017年7月から建設を進めていた新庁舎が完成し、12月8日に新庁舎2階で落成式が開催された。式典には、環境大臣を務める原田義昭衆議院議員や福岡県副知事の服部誠太郎氏などを始め、近隣自治体首長や市議会議員、設計・施工関係者、地元自治会関係者ら約280名が列席。登壇した筑紫野市長の藤田陽三氏は、「近年の災害に耐え得る安心・安全の防災拠点、市内に点在していた部署の集約によるワンストップの行政サービスの拠点などを目指して建設を進めてきました。この筑紫野市のシンボルとなる新庁舎に魂を入れるため、職員一丸となってまちづくりに取り組んでいきます。これまでご尽力いただいた多くの関係者各位に、改めて深く感謝申し上げます」と式辞を述べた。その後、来賓者らが新庁舎完成の祝辞を述べ、藤田市長からは、建設を手がけた前田建設・九州建設・久米設計・匠建築JVに感謝状が贈呈された。新庁舎での業務は、19年1月4日からスタートする。

 1936年に建てられた旧庁舎の一部は、築約80年が経過し老朽化が進んでいた。また、本館のほかに別館5棟、さらに上下水道庁舎と文化財担当事務所などが離れた場所に設置され、施設・機能が分散。筑紫野市民や職員など、多くの人が不便さを感じていた。そのため、新たな庁舎の建設計画が進行。17年7月から工事が進められていた。

 今回完成した新庁舎は、JR天拝山駅と西鉄朝倉街道駅それぞれから徒歩10分の距離のJR鹿児島本線沿いの場所にあり、敷地面積1万4,504.27m2の九州森永乳業跡地につくられた。庁舎棟は鉄骨造(基礎免震構造)の地上6階建てで、隣接する北側には市民交流などのさまざまな用途に活用できる2階建ての多目的棟も備えている。敷地内にはほかに、ふれあい広場や立体駐車場棟(359台分)、平面駐車場(約50台分)が整備されているほか、先行して16年10月に開館した「二日市東コミュニティセンター」もある。総工費は、土地代を除き59億5,620万円。

行政サービスの拠点

筑紫野市新庁舎

 庁舎棟の1・2階の低層部には、「わかりやすい窓口空間」をコンセプトに、市民からの利用頻度の高い窓口を集約した。また、カウンター沿いの柱には、各課の窓口番号や課名などを大きく表示。見やすく鮮やかな色合いのデザインのサイン表示の導入で、初めて来庁する人でもわかりやすいように配慮した。

 3・4階部分の執務フロアでは、最も面積効率の良い中廊下形式を採用。執務スペース内では課ごとの仕切りをなくすことで、見通しの良い開放的な空間をつくり出すとともに、将来の行政需要の変化や組織改編にも柔軟に対応できるようになっている。

 5階部分には7室の会議室を備えるほか、筑紫野市内や宝満山を一望することができる屋外テラスも設けた。また、6階部分には議会機能を集約配置。議決機関としての独立性や行政との連携が考慮されたつくりとなっている。

 ほかに、各階の西側にはラウンジスペースを設置。明るく開放的な空間で、憩いの場としてだけでなく、活発なコミュニケーションや市民交流の場としての活用も見込んでいる。また、子どもから高齢者まで誰もが安心して利用できるよう、バリアフリーにも配慮。各階に多目的トイレを配置するほか、1階には子どもを連れた保護者が授乳やオムツ替えを行える「赤ちゃんの駅」も配置。さらに、多目的棟のすぐ近くには、車椅子利用者や高齢者、妊産婦などが優先的に利用できる「まごころ駐車場」(6台分)も整備した。

安全・安心の防災拠点

新庁舎1Fホール

 今回完成した新庁舎の特徴の1つとして、防災機能を強化した点が挙げられる。まず庁舎棟1階の床下には、免震装置を48カ所設置。免震装置は、積層ゴム支承・弾性すべり支承・オイルダンパー・鋼製ダンパーの4種類の装置を組み合わせ、大地震の際にも被害を最小限に抑え、旧庁舎では不適合だった災害対応拠点としての機能を維持することができるようになった。

 また、非常用発電機や汚水槽などの自立インフラのバックアップ機能を備えており、災害発生時でも電力・給水は3日間、排水も3日間の自立稼働を可能とした。これにより、万が一電力などの供給が途絶えても、業務継続はもちろんのこと、災害対応活動を円滑に実施できる体制を構築。併せて、庁舎棟内には備蓄倉庫を設けて、支援物資や災害対応資機材などを常備している。また、災害時の中枢となる防災会議室は、災害警戒・対策本部の迅速な設置が可能となるよう、執務エリアおよび市長エリアと隣接して配置。市が率先して被災者・避難者への素早い対応を担える仕組みを確立させている。

 さらに、敷地内のふれあい広場は、災害時には防災広場として、一時避難場所や支援物資の受け入れ場所への機能転換ができるほか、隣接する多目的棟との一体利用も可能。ほかに、屋外駐輪場前にマンホールトイレを設置することで、災害時の混雑が予想されるトイレ需要への対応も行っている。

 そのほかに、新庁舎では自然エネルギーの有効利用にも留意。自然光を多く採り入れるほか、自然換気・通風を良くすることで冷暖房費のコスト削減を図るほか、井水の活用・雨水の再利用などを行う。また、建物の外壁などに強固な防水施工を施すことで、メンテナンスコストを低減。環境に優しく、経済性の高い庁舎となった。

 市民のニーズに応えてコンパクトに機能を集約し、新たに誕生した筑紫野市新庁舎。今後、市の新たなシンボルとして、そして「地域コミュニティの連携拠点」「安全・安心の防災拠点」「行政のサービス拠点」として、筑紫野市のまちづくりに寄与していくだろう。

【内山 義之】

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