「地盤革命」「住宅革命」に挑戦 M&Aによる リフォーム事業進出(前)
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地盤ネットホールディングス(株) 代表取締役 山本 強 氏
地盤の特性に合わせた最適な耐震設計を行うことで、地震に強く、いつまでも安心して住み続けられる「地盤適合耐震住宅」の事業拡大を行う地盤ネットホールディングス(株)。リフォーム事業への参入のため、2018年7月にジャパンホーム、10月にエンラージの事業を譲り受けた。地盤業界では、地盤改良工事会社が地盤調査を行う場合、高額な改良工事がセットになっている可能性があり、必要でない改良工事を行っていた例も否定できず、その悪習を打ち破るために同社を設立。「地盤革命」に乗り出した。現在、同社は「地盤適合耐震住宅」を全国で普及させるチャレンジにも乗り出しており、「地盤革命」「住宅革命」に挑戦する同社代表取締役の山本強氏に話を聞いた。
地盤業界の悪習『地盤革命』で変化
――山本社長が執筆した『地盤革命』(2012年6月、あさ出版)には、地盤改良工事会社から地盤改良工事が必要と言われた物件のうち、御社の「地盤セカンドオピニオン」によって「改良工事がいらない」と判定された物件は約70%(2012年当時)と書かれています。やはり、施工と調査は別に行う必要がありますね。
山本 まず、地盤業界の慣習について説明します。戸建住宅会社が家を建設する際、地盤改良工事会社に地盤調査を発注します。そして地盤改良工事会社は現地に調査に行き、その調査結果と家のプランから改良工事が必要かどうかを判断し、必要であればワンストップで受注します。
ここで注目してほしい点があり、調査だけでは数万円の売上にしかなりませんが、改良工事を実施すれば数十万円から数百万円の売上になります。そこで改良工事を行う基準にグレーゾーンもあり、改良工事を実施するか否かについては、改良工事会社の裁量に依るところが大きかったのです。もちろん、必要な改良工事はあったでしょうが、100%必要であったかといえば疑問です。
そこで、専門的に調査・解析を行う「改良工事を受注しない唯一の地盤会社」として、2008年に創業しました。創業当初から「地盤セカンドオピニオン」と名付け、「改良工事が必要」と言われた戸建住宅の地盤について調査資料を送ってもらい、再判定していました。当初は、地盤業界からのバッシングや風評被害も激しかったですが、東日本大震災後、ある住宅会社から「地盤ネットから改良工事が不要と再判定した物件には被害がなかった」との声を受け、地盤業界での風向きも変わりました。過剰な地盤改良工事を防ぐサービスは、業界の流れを大きく変えました。
東京都内の例、江東区は地盤弱い
――地盤と不動産の土地価格は、それほど連動していないように見えます。
山本 どちらかというと、地盤が悪いところに新たな駅や街ができて、人気になっています。つまり、人気があっても地盤の悪い土地に居住するケースが往々にして見られ、逆に、旧来の地盤の良い土地が放置されて土地価格が下がっています。
先日、東京都区市町村「いい地盤ランキング」を発表しました。東京23区を地盤の悪い順にいえば、江東、中央、墨田、荒川、江戸川、台東、足立、葛飾と続きます。理由は、もともと低い場所だったことです。一般的に城東地区は、地盤リスクが高いのです。しかし、不動産価格は上昇傾向にあり、地盤の善し悪しと不動産の実勢価格がリンクしていないことが問題です。
余談ですが、地盤調査専門会社の社長としては、私が被災しては話になりませんので、マイホームを選ぶ際は地盤重視で用地を選びました。家族と住宅資産価値の両方を守るために、縄文時代の貝塚があった数千年前からの高台で、江戸時代には武家屋敷があり、400年も前から宅地として使われていた場所です。
そこで、地盤のスコアに関心をもってもらうことも始めました。「じぶんの地盤」アプリでは、いつでも、どこでも、その場所の地盤の評価がわかり、ウェブサービスの「地盤カルテ」で住所を検索すると、地盤の目安の評価を100点満点で表示します。両方とも無料です。この「地盤カルテ」では近隣の地価も出ますが、今後、地盤的にはこの土地はいくらになるかという地盤価格も公表する構想があります。
(つづく)
【長井 雄一朗】
<Company Information>
代 表 : 山本 強
所在地 : 東京都千代田区丸の内1-8-1
設 立 : 2008年6月
資本金 : 4億9,040万円関連記事
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