2024年03月29日( 金 )

MICE誘致機能強化へ 「丸の内二重橋ビル」竣工式

記事を保存する

保存した記事はマイページからいつでも閲覧いただけます。

印刷
お問い合わせ

三菱地所、東京商工会議所および東京會舘は、千代田区丸の内三丁目で開発してきた「丸の内二重橋ビル」を10月15日に竣工し、11月21日に竣工式を執り行った。「丸の内二重橋ビル」は、皇居外苑を正面に望むオフィスに加え、MICE誘致機能強化を目的とした大ホールやバンケットの一元的な整備を行ったもの。丸の内・有楽町エリアの賑わいをさらに活性化させる丸の内仲通り路面店舗の充実を図り、エリアの防災機能・環境性能を大幅に向上させる丸の内仲通り下の洞道を整備した。東京の国際競争力の向上に貢献するとともに、丸の内エリアの魅力を高め、有楽町エリアへも賑わいを波及させていく。


MICE関連施設が充実

「丸の内二重橋ビル」外観(丸の内仲通り側)

 ビル6階には、都心型MICEの誘致促進を目的に、MICE施設などを所有・運営する20団体で結成した組織「DMO東京丸の内」が拠点を構える。DMO東京丸の内は、エリアと連携してエリア内のMICE施設を国内外に情報発信するほか、観光誘致のために旅行事業者やメディア、ブロガーなどを招く視察ツアー「FAMトリップ」でのプレゼンテーションも実施。このほか、東京商工会議所や東京會舘が所有・運営するMICE施設の連携や活用も推進する。

 5階と6階には、海外メディアが日本から世界に情報を発信する拠点である日本外国特派員協会(プレスクラブ)を設置した。DMO東京丸の内とともに、丸の内エリアから海外に向けた情報発信機能を強化する

6F DMO東京丸の内

 東京商工会議所のMICE機能では、5階の貸会議室エリアには、移動観覧席と電動式昇降ステージ、300インチのスクリーンを備えた「東商グランドホール」(最大500席、580m2)のほか、8室の会議室(80~280m2)を備え、国際会議を始め株主総会や会社説明会、記者会見など、多様な会議・イベントへの対応が可能となる。会議室には全室にプロジェクターやスクリーンを設置しており、メイン会場の映像を別会議室へ同時配信することも可能。東京商工会議所の新オフィスでの業務開始は11月26日からで、ホール・会議室は2019年1月8日から営業を開始する。

 一方、15年1月末より建替えのため一時休館していた東京會舘本舘は、「NEW CLASSICS.」をコンセプトにした複合施設として新たに生まれ変わる。レストラン8店舗を始め、バンケットルーム13室、チャペルや神殿を備える。圧巻なのは、エリア最大級となる最大2,000名規模の宴席に対応する大バンケット「ローズルーム」を新設、国際規模のMICEに対応する最新の音響機器や高性能プロジェクター、7mの天井高を生かした500インチの大型スクリーンを完備した。開場は19年1月8日。

 「丸の内二重橋ビル」は、水と緑の景観が広がる皇居外苑と商業・文化色の色濃い銀座・日比谷・有楽町に近接し、ビジネスの中心でありながらも気品と賑わいが感じられるエリアに位置する。「富士ビル」「東京商工会議所ビル」「東京會舘ビル」の3棟の一体建替えによる開発だ。低層部は三菱地所、東京商工会議所および東京會舘による区分所有となり、三菱地所による丸の内仲通り路面店舗を中心とした店舗、東京商工会議所による貸会議室、賃貸オフィスおよび事務局、東京會舘による高級レストラン、チャペル、バンケットが配置されている。高層部は皇居外苑を正面に望む賃貸オフィスとなり、三菱地所と東京會舘の共同所有となった。
 オフィス機能は、皇居外苑と丸の内仲通りの両方に面する街区に立地し、皇居外苑や日比谷公園も望むことができ、東京駅・丸の内と銀座・日比谷・有楽町との結節点に位置することでビジネス・商業・文化の息づく場所として多様な業種にフィットする。

 今回、すでに入居が決まっているテナントは三菱重工業で、グローバル・グループマネジメントなどを担う部門を中心とした本社機能を移転する。三菱重工業にとっては、03年に東京・品川に本社を移転して以来、16年ぶりの丸の内回帰となり、1月8日に営業開始となる。三菱マテリアルも組織風土改革の一環で、移転が決まり、3月から営業開始を予定。この2社と監査法人の「デロイト トーマツ」でオフィスの8割を占め、全体の9割のテナントが埋まっている(11月21日現在)。

 このほか「丸の内二重橋ビル」は、オフィス機能だけにとどまらず、防災拠点の役割としても重要だ。「丸の内二重橋ビル」が、「新東京ビル」「新国際ビル」「新国際ビルヂング」「新有楽町ビル」「有楽町ビル」に対してエネルギーを供給する方針。「丸の内二重橋ビル」単体としてBCPを高めるのではなく、ほかのエリアにも高めていくことで大きな役割をはたす。ちなみに「丸の内二重橋ビル」は帰宅困難者受け入れスペースとして、1,750名を受け入れることも可能だ。

有楽町にも開発効果波及

 20年12月に竣工予定の丸の内仲通り下の洞道を活用し、有楽町エリアにおける熱・電力(非常用)を供給する面的なエネルギーシステムの構築を図り、単体ビルの開発にとどまらず、エリア全体の防災性能と環境性能を高める。将来的には雑用水・通信線の整備も予定し、これらの整備を通してエリアのインフラ機能が整うことで、有楽町エリアの今後の再開発にも、より柔軟に対応することが可能となる。

 そして気になるのが、有楽町の再開発だ。三菱地所丸の内開発部の担当者は、「大手町、丸の内、有楽町エリアを比較すると、有楽町エリアの建築物は築年数が経過しているものが多い。今後、有楽町エリアを中心にどうまちづくりすべきかの構想を検討しているが、その構想に基づいた各ビルの建替え計画を弊社丸の内開発部で検討しています。丸の内二重橋ビルは有楽町エリアに向かう顔ですので、有楽町エリアの開発の第一歩の位置付けになります」とコメントした。

三菱地所の吉田淳一執行役社長

 また、三菱地所は14年より、フロアを小規模区画に分割し、レセプション、会議室、ラウンジなどを備えた「The Premier Floor」を展開してきた。今回、二重橋ビル21階に、丸ビル、大手町パークビルにつぐシリーズ第3弾となる「The Premier Floor MARUNOUCHI NIJUBASHI BUILDING」を設置した。

 三菱地所の吉田淳一執行役社長は、「今後とも日本の中心である東京の国際競争力向上に努力していきたい。これからオフィス部分から多くの情報発信がされることを期待しています。丸の内二重橋ビルがエリアとともに、賑わいを創出し、愛され続けるビルとなってほしい」と竣工祝賀会で挨拶した。

【長井 雄一朗】

【丸の内二重橋ビルの建物概要】
敷地面積:9,935.02m2
延床面積:174,054.18m2
開発手法:都市再生特別地区(丸の内三丁目10地区)
容積率:1,500%
階数:地下4階、地上30階、塔屋2階
建物高さ:約150m
構造:地上/鉄骨造、地下/鉄骨鉄筋コンクリート造
設計監理:(株)三菱地所設計、日建設計コンストラクション・マネジメント(株)(東京會舘専有部)
施工:大成建設(株)
工期:2015年11月16日~2018年10月15日

月刊誌 I・Bまちづくりに記事を書きませんか?

福岡のまちに関すること、再開発に関すること、建設・不動産業界に関することなどをテーマにオリジナル記事を執筆いただける方を募集しております。

記事の内容は、インタビュー、エリア紹介、業界の課題、統計情報の分析などです。詳しくは掲載実績をご参照ください。

企画から取材、写真撮影、執筆までできる方を募集しております。また、こちらから内容をオーダーすることもございます。報酬は1記事1万円程度から。現在、業界に身を置いている方や趣味で再開発に興味がある方なども大歓迎です。

ご応募いただける場合は、こちらまで。その際、あらかじめ執筆した記事を添付いただけるとスムーズです。不明点ございましたらお気軽にお問い合わせください。(返信にお時間いただく可能性がございます)

関連記事