「ロープウエーが望ましい」と結論~福岡市WF地区アクセス強化研究会
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福岡市は9日、ウォーターフロント地区の公共交通システムに関する助言などを行う「WF地区アクセス強化研究会」(座長:石田東生・筑波大学名誉教授)の最終会合を開き、WF地区への公共交通システムには「ロープウエーが望ましい」という結論を出した。
ほかの交通システムに比べ、「コストが圧倒的に低い」点を評価したという。ルートは、博多駅とWF地区をほぼ直線で結ぶ大博通り上を選んだ。市では今後、今回の結論をもとに、内部で検討を進める考えだが、今後のスケジュールなどについては、明言を避けている。
同市では昨年12月、WF地区の再整備事業を公表。クルーズ船ターミナルやMICE施設、立体駐車場などを整備する方針だ。ロープウエーを整備する場合、ルートや駅舎の設置場所などについて、再整備事業との整合を図る必要があると思われる。同市では、2021年までに再整備事業の基本スキーム(案)をまとめる見通しだが、このなかにロープウエー事業をどう落とし込んでいくかが注目される。
市担当者は、今回の結論は、あくまで研究会としての意見であって、「市として最終決定したものではない」と予防線を張る。今後のスケジュールなどについても「まったくの白紙」で、「(検討の)進め方を含めて、検討する」というにとどめている。
同研究会では、地下鉄、モノレール、新交通システム、ガイドウェイバスシステム、HSST、ケーブルライナーシャトル、スカイレール、ロープウエーという実用実績がある8つの交通システムを研究対象に選定。輸送能力、コスト、安全性のほか、支柱間隔や車両基地などの構造、楽しさや景観などの魅力などの項目について、比較検討を行った。WF地区へのルートには、博多駅から大博通りを経由するルートと天神駅から渡辺通り、那の津通りを経由する2ルート(いずれも延長約2km)を対象にした。
交通システムの比較データは、他都市の事例などをもとに、算出。イニシャルコストの比較では、ロープウエーが最もコストが低い結果となった(博多駅ルート101億円、天神駅ルート116億円)。WF地区への車両基地面積の比較では、ロープウエーが最も少ない面積が少ないと試算された(0.07ha)。楽しさや景観などの魅力の比較でも、ケーブルを張るだけなので、支柱なども少ないロープウエーに最高の評価がついた。ロープウエーは、落下物のリスクや風に弱いなどの弱点があるが、「ロープウエーには、デメリットを圧倒的に凌駕するメリットがある」(石田座長)という結論になった。
ルート比較では、「ほぼ直線である」などの理由で、博多駅から大博通りを経由するルートが望ましいと判断された。天神ルートは、地下街があるため、そもそも道路上に支柱を設置するのが困難などという理由から、見送られた。
WF地区アクセス強化研究会は昨年1月、8月にそれぞれ会合を開いている。交通計画・都市計画などの学識経験者、市関連部局の各部長で構成され、国土交通省九州地方整備局などからのオブザーバー参加者もいる。
【大石 恭正】
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