阪神淡路大震災から24年~被災者のこころのケアは今
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1995年1月17日、淡路島北部を震源とするマグニチュード7.3の地震が近畿地方を襲い、神戸市を中心に6,000を越える人命が失われた。この時に大きく取り上げられることになったのが被災者のメンタルケアだった。心的外傷後ストレス障害(通称PTSD)について大きく報道された一方、被災した精神科のある病院に対する支援の遅れが課題となった。
震災から24年、被災者に対する精神医療の支援はどのように変化したのだろうか。
PTSDは、ショック体験を不意に思い出してしまうことや逆にその記憶を思い出せない、無感情になるなどの記憶や気分の障害が、一カ月以上にわたって続くことをいう。わかりやすい症状が大きく取り上げられる一方、被災した精神科のある病院に対する支援の問題、避難所での生活が長引く被災者全体のメンタルケアが課題として残された。精神医療は長期のケアが必要なことが多く、医療体制が整っていなければ継続が難しい。
2004年の新潟県中越地震では初めて精神医療の専門家を中心としたチームが被災自治体に派遣され、被災者のメンタルケアを行った。東日本大震災の後の2012年からは、災害派遣精神医療チーム(DPAT)という支援チームの結成が各都道府県や政令市に事実上義務付けられた。DPATは被災者の心のケアを行うだけでなく、医療ネットワークの回復など継続したケアを可能にするための体制づくりもサポートできる。
2017年7月の九州北部豪雨では、福岡県DPATが朝倉市と東峰村からの要請を受けて派遣され、2カ月間、避難所の巡回や相談窓口の設置など住民や被災者への支援を行った。同チームを統括した楯林英晴福岡県精神保健福祉センター所長は、被災者の精神医療支援について今後の課題として以下の3つを挙げる。
(1)DPAT先遣隊の研修や設備、装備の充実
(2)災害拠点精神科病院の必要性
(3)消防職員や自治体職員など支援者のメンタルヘルスとくに(3)については、災害直後から多忙をきわめる自治体職員の労務管理といった職務面での支援にも言及し、「1人ひとりが被災者に対して上手に対応する必要がある」と語った。
【小栁 耕】
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