2024年03月29日( 金 )

【『北方ジャーナル』記者・緊急寄稿】覚醒剤使用の元警官に求刑3年~「前向きになれる」と、薬物事件の捜査員が「シャブ警官」に

記事を保存する

保存した記事はマイページからいつでも閲覧いただけます。

印刷
お問い合わせ

覚醒剤をやめられず、自ら販売、客の女と交際……の転落

 昨年10月に覚醒剤所持・使用で逮捕され、保釈中に再び使用して再逮捕された北海道警察巡査部長・成田順被告(46)=のち免職=の初公判が28日午後、札幌地裁(駒田秀和裁判官)であり、検察側が懲役3年を求刑して即日結審した。

覚醒剤使用などで裁かれる被告は、薬物事件の捜査員
だった(写真は、札幌市中央区の札幌地方裁判所)

 札幌中央警察署で薬物捜査を担当していた成田被告は昨年10月、自ら使う目的で覚醒剤を入手し、共犯の女とともに道警に逮捕された。その後、所持と使用で送検され、11月2日に保釈されて札幌市内の実家で過ごしていたが、そのさなかに高齢の両親の目を盗んで使用を再開、12月に再び所持・使用で逮捕された。

 今月28日の初公判では、成田被告が2017年12月から覚醒剤使用を繰り返していたことが明らかにされた。昨年からは「余った物」をインターネットで自ら販売するようになり、同年7月には客の1人だった女と交際を始め、2人で使用を重ねた結果、同年10月の逮捕に至った。

仕事上での孤立と寂しさ「行くところまで行くしかない」――父親も元警官

 初公判で成田被告は起訴事実を認め、覚醒剤に手を出した理由を「仕事のうえでの孤立や精神的な寂しさを紛らわすため」と語った。共犯の女とともに使用を繰り返した時期を振り返っては「行くところまで行くしかないと思った」。最初の逮捕後、保釈中に再び使用におよんだ理由については「社会復帰への一歩がなかなか踏み出せず、薬を使うと前向きになれた」と打ち明けた。情状証人に立った父親は、保釈中の再使用に「まさか、と信じられない思いだった。父親として重大な責任を感じている」と述べている。この父親は元警察官であることがわかっているが、法廷でその事実が明かされることはなかった。

 覚醒剤事件を取り締まる立場の現職警察官(当時)が起こした事件に、検察は「言語道断であり、警察の信頼を失墜させた責任は極めて重い」と、懲役3年を求刑。弁護人は「本人は猛省しており、妻子と別れるなど一定の制裁を受けている」と、執行猶予判決を求めた。判決は2月7日午後、札幌地裁で言い渡される。

 共犯の女に対してはすでに懲役2年の求刑があり、今月30日に判決言い渡しの予定。

【小笠原 淳/『北方ジャーナル』記者】

関連記事