2024年03月29日( 金 )

【全国初】海上保安庁、荒天時の関空周辺3マイル以内の海域に航行制限

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海上保安庁は1月31日、海上交通安全法第26条に基づき、荒天時に関西国際空港(関空島)周辺を航行する船舶に対し、関空島から3マイル(約5.5km)以内の船舶の航行を制限する運用を開始した。昨年12月25日に行われた第3回有識者検討会で取りまとめられた中間報告にある、「関空周辺海域における荒天時の走錨などについては、法規制をもって再発防止に当たるべき」との提言を踏まえたもの。荒天時の航行制限としては、全国初の取り組みとなる。


 海上保安庁が公表した「走錨海難防止のための新たな航行ルール」によると、暴風または暴風雪に関する気象警報が発表されるような可能性のある期間や、海上保安庁長官が別に定める期間については、関空島から3マイル(約5.5km)以内の航行を制限するとしている。これによって3マイル以内での錨泊は不可となり、ルールを守らない船舶については、海上交通安全法第47条に基づき罰則が適用され、3カ月以下の懲役または30万以下の罰金が科される。海上保安庁の関係者によると、事前に進路が予想できる台風の場合については、通過が予想される数日前から、3マイル以内への航行を制限するとしている。

 対象となる船舶は種類を問わず、総トン数100t以上の船舶。ただし、人命または財産の保護、船舶の危険を回避するためなど、やむを得ない事情によりその海域を航行せざるを得ない船舶は対象外となる。100t未満の船舶については、荒天時に関空周辺海域を航行する可能性が少ないことや、航行を制限することによって航路の迂回を強いられ、スムーズな帰港や係留に支障をきたす恐れがあることから、対象外としている。ただし3マイル以内での錨泊については、総トン数に関わらず不可としている。

 第4回有識者検討会は2月8日に行われる。関空周辺海域以外の海域についても、同種事故の再発防止のあり方について話し合いが行われる予定。海上保安庁は年度内をメドにもう一度有識者検討会を行い、最終報告を予定している。

【長谷川 大輔】

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