2024年04月19日( 金 )

【記者クラブ制度の闇】神戸地検が明石市・泉前市長の告発人情報を漏洩か~記者クラブは「公務員の守秘義務」適用外の特権階級?

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漏洩した、告発人の電話番号

 神戸地方検察庁が、受け取った告発状の個人情報を一部マスコミに流出させた疑いがあることが、データ・マックスの取材で明らかになった。

 告発状を送付した福岡県在住の告発人に対して8日、産経新聞社と読売新聞社の記者から取材を申し込む電話があったことで判明したもので、告発人が電話番号をどこで知ったのかについて尋ねたところ、明確に回答しなかったという。

 告発人は「告発状は誰にも知らせずに内容証明郵便で送ったので、告発状に記載した電話番号を知る機会があったのは郵便局と神戸地検の担当者に限定される。郵便局員がリスクを冒してまで個人情報を漏洩させる可能性はほとんどなく、神戸地検が情報を流したとしか考えられない。告発状については家族にも伏せていたため、取材の電話で告発状の件を知った家族は怯えている。これほど簡単に告発人の情報が洩れるようでは、権力者を告発することなどできなくなってしまう」と話している。

 神戸地検は7日、データ・マックスの取材に対して「記者クラブ非加盟社の取材には応じることができない」として、明石市の泉房穂前市長に対する刑事告発状を受け取ったかどうかすら回答を拒否していた。一方、7日に掲載したNetIb-NEWSの記事を後追いするかたちで取材を始めた産経新聞と読売新聞の記者は翌8日の時点ですでに告発状に記載された告発人の電話番号を知っていたことになる。

 国家公務員は、国家公務員法100条で「職務上知りえた秘密を漏らしてはならない」とされており、神戸地検は、記者クラブ非加盟社には告発状の存在すら回答しなかったにもかかわらず、記者クラブ加盟社には国家公務員法違反を犯してまで告発人の個人情報を漏洩させた、極端なダブルスタンダード対応をしていた可能性がある。

記者クラブの存在意義とは?

 福岡市内で弁護士法人を営むベテラン弁護士は、「記者クラブは任意団体であり、その存在を公的に認めるような法律は存在しない」としたうえで、「記者クラブ加盟社にというよりも、告発した人を特定する情報をリークすること自体が許されない。犯罪被害者が行う告訴と市民が誰でも行える告発とでは多少利益状況は異なるが、告発人本人の同意がないままに情報が漏洩することがあってはならない」と、問題視する。

 神戸地検は13日、データ・マックスの取材に対して、「通常、告発状の記載内容を知る手段はない」とし、記者クラブ加盟社に対して告発人の個人情報を漏洩させた疑惑については、「記者クラブの窓口である広報から、告発状に記載された個人情報を伝えることはない」と否定している。

 もっとも、検察や警察など捜査機関しか知りえない情報を記者クラブ加盟社が容易に入手しているのは報道現場の「常識」で、そうした「癒着」がなければ新聞記事やニュース番組が成り立たないのもニッポン的ジャーナリズムの現実だ。政権や捜査機関から情報をもらうこと(=記者クラブ)がはたして報道と呼ぶに値するのか。大手マスコミの記者で、まともに答えられる者がどれだけいるのだろうか。

 

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