2024年04月18日( 木 )

大分の太陽光発電有力会社で公文書改ざん判明 認定と別地の設備撤去へ

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 大分県内ではトップクラスの太陽光発電設備販売業、(株)日出電機(本社:大分県速見郡日出町、渡辺浩司代表)で公文書の改ざんが判明した。国が認定した土地とは異なる場所に太陽光発電設備を設置していたことが、住民から町への情報提供でわかったという。

 渡辺代表は「元社員によるものだが、管理体制が甘かったと言わざるを得ない」と説明。同社は設備を速やかに撤去し、2017年3月から2年間稼働させて得た売電収入を返還するとしている。

 同物件を担当した元社員は17年8月に退職し、連絡が取れない状況にあるという。

 同社は売電目的で、大分県日出町の農地A(約9,400m2)に太陽光発電設備の設置を計画し、経済産業省に申請。13年に農地Aにおける認定通知書を受け取った。本来なら、農地Aで計画が進められるはずだが、実際は別に経産省の認定を受けていた、道路を一本挟んだ農地B(約1万1,000m2)で計画が進む。

 同社は土地の用途変更手続きのため、日出町農業委員会に認定通知書を提出。しかし、提出されたのは、地番だけ農地Bに置き換えられた農地Aの認定通知書だった。この時点で、改ざんに気づくべきだったが、チェック体制が機能しなかったものとみられる。

 農地Aにおける売電価格は1kwあたり40円、農地Bは同36円で、確かに面積の広い農地で価格条件がよければ、収入は大きくなる。理屈ではそうなるが、それが目的だったのかは今でも判然としない。

 渡辺代表は「原因は調査中だが、適正な通知書ではなかったのは事実」とし、改ざんが判明した発電設備の撤去を決めた。売電先の九州電力との契約は今月中旬で解除し、90日以内に速やかに原状復帰させるという。

 同地の地権者との賃貸借契約を反故にはできないと、認定を取り直し、再設置する予定。認定を取り直すため、売電価格は1kwあたり14円になる。返還を決めた売電収入額は、現時点でまだ算出されていない。同社が所有するほかの発電設備に関しても、調査を徹底し、再発防止を図るとともに、撤去費用など元社員への損害賠償請求も検討しているという。

 日出町農業委員会は、「これまで例のない事態だが、(日出電機が)自ら取り下げ、撤去すると申し出たので、罰則などを適用する考えはない」としている。

  日出電機は1961年設立の電気工事会社。県内でもいち早く太陽光発電事業に取り組み、業績は急拡大。18年7月期の売上高は約41億円、経常利益約14億円を計上している。

【東城 洋平】

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