2024年04月17日( 水 )

石油から水へ:新たな富を生む『水力(ウォーター・パワー)』(後編)

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 NetIB-Newsでは、「未来トレンド分析シリーズ」の連載でもお馴染みの国際政治経済学者の浜田和幸氏のメルマガ「浜田和幸の世界最新トレンドとビジネスチャンス」から、一部を抜粋して紹介する。今回は、2019年2月22日付の記事を紹介する。


 水危機が叫ばれる今日、あまりにも身近な存在であった水を、もう一度じっくりと体内に取り入れ、「水力(ウォーター・パワー)」を味方につける工夫を重ねるときがきていることは間違いない。「水を制するものは、世界を制す」。これが21世紀の資源争奪戦の現実である。狭い国土に人が密集しているが、石油などエネルギー資源の乏しい国。必要なエネルギー源の9割を外国に依存する。これが「島国日本」に関する一般的な見方ではなかろうか。しかし、そうした定説を覆す可能性が出てきた。そのカギを握るのは日本を取り囲む海にある。

 わが国は国土面積の大きさで言えば、世界第66位の38万平方キロメートルに過ぎない。しかし、排他的経済水域(EEZ)という視点で見れば、日本の海域面積は国土の約12倍に当たる405万平方キロメートルにも達する。これは世界第6位の「海洋大国」であることを意味している。

 改めて世界地図を見て頂きたい。近年、中国や韓国との間で尖閣諸島や竹島の領有権が問題になっていることはご承知の通り。確かに、中国や韓国の先を遮るように日本列島が南から北へ弓状に伸びており、その先の太平洋上の領海とEEZを日本が独り占めしていることがよく分かるはずだ。出口を塞がれた形になるわけで、中国や韓国がいら立つのも無理からぬ話かもしれない。

 とはいえ、問題はこの広大な「日本の海」をどう活用するかということ。「海からの贈り物」は豊かな海産物や潮流発電に限らない。実は、日本が必要とする未開発のエネルギー資源が何百年分も眠っているのである。それこそ「燃える氷」と呼ばれる天然ガスの一種、メタンハイドレートに他ならない。燃やしてもCO2の排出量が天然ガスの3分の1以下といわれ、地球温暖化対策にも効果的な資源であることは間違いない。

 2010年に建設会社やエンジニアリング企業が中心となって立ち上げた日本プロジェクト産業協議会によれば、「日本のEEZ内に眠るメタンハイドレートの商業価値は120兆円に達し、海底熱水鉱床は80兆円になる」とのこと。そして、それぞれが年間5万4,000人、3万5,000人の雇用を生むというから心強い。

 「資源小国」と見なされてきた日本にとっては夢のような話である。政府が資金を提供し、メタンハイドレート資源開発研究コンソーシアム(MH21)が中心となり、2013年には和歌山県の沖合で世界初の海洋産出試験が行われた。残念ながら、その試掘ではサンドフィルターに大量の砂が流れ込み、船上の生産水タンクにも砂が混入したため、予定された試験を中断することになった。

※続きは2月22日のメルマガ版「石油から水へ:新たな富を生む“水力(ウォーター・パワー)”(後編)」で。


著者:浜田和幸
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