2024年04月19日( 金 )

福岡市南区の障がい福祉事業所で不正受給の疑い~職員の勤務実績など偽装

記事を保存する

保存した記事はマイページからいつでも閲覧いただけます。

印刷
お問い合わせ
就労継続支援A型事業所「あずみ」ホームページ

 福岡市南区横手の障がい者就労継続支援A型事業所「あずみ」で、市に届け出ていた一部の職員の勤務実態がほとんどないにもかかわらず、出勤したことにするなどして国に申請し、給付金を不正に受給していた疑いが浮上している。すでに複数の関係者が市に相談していることがわかっており、取材に応じたあずみの職員は「(届け出のある職員のなかには)事業所に一度も出入りしたことがない人もいる」と事実上の「名義借り」を認めている。

 事業所を運営するのは、NPO法人あずみ(福岡市南区横手、鐘ヶ江琢磨理事長)で、障がい者の一般就労を支援する目的で平成28年7月に福岡市より指定を受け開所。利用者はパソコンを使ったデータ入力やホームページの更新作業を行っているというが、開所直後から十分な職員が揃わないまま事業所運営が行われていたとみられる。市から事業所の指定を受ける際や市職員による実地指導の際に、適切な職員の配置を報告するため、架空の雇用契約書を作成していた可能性が高い。

 関係者によると、最も大きな問題は事業所運営を担う職員の配置で、届け出されていた者の勤務実態がなかったこと。過去に行われた市の実地指導の際には、「出勤した」と偽装し、実態と異なる出勤簿を作成していたことがわかっている。現在も「就労支援」というのは名ばかりで、管理者は月換算で数時間しか事業所におらず、職業指導員に至っては利用者の送迎が主な業務となっている。ある利用者は「教えてもらいたいことがあっても、質問すらできない。就労支援の体をなしていない」と語る。

一時的であっても、十分な人員の配置が行われない場合は、給付金が減額されることになっているが、同事業所では条件を満たしていると装っていた可能性が高い。この他、利用者に提供される食事に関する「食事加算」でも、不適切な処理を行っていたことがわかっており、不正受給を疑われる額は少なくとも数百万円に上るとみられる。

 データ・マックスの取材に対し、鐘ヶ江理事長は「市には現状を報告し、問題ないと回答を得ている。疑われるようなら、市に(監査に)入ってもらっても構わない」と疑惑を否定したうえで、「あずみの経営状況は厳しく、閉鎖も視野に入れている」とコメント。

 福岡市保健福祉局は「職員や利用者からも相談があったが、理事長の説明と実態が大きく食い違う。事実関係を確認したい」と話した。事業所の閉鎖に関して、同局は「廃止届が提出されても、事実確認を優先させる」意向を示している。

【東城 洋平】

関連記事