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2019年03月06日 15:45

創業一族が語った大阪ビル管理会社破綻の真相(7)従業員は乗っ取りを受け入れた

業歴40余年の大阪のマンション管理会社が2018年12月、債権者である自治体から大阪地裁に破産手続きを申し立てられ、経営破綻した。地元メディアが一斉にこの破産を報じたのは、不特定多数が利用する公共施設の指定管理者だったからだ。「いずれ行き詰まる。計画倒産させるはず」――そう同社の末路について語る関係者らと、筆者は破産の半年も前に出会っていた。すでに起きていた同社内部の異変。現場では何が起きていたのか。

 取材過程で創業一族から最初に出てきた言葉が、放漫経営への反省と後悔だった。創業者によるワンマン経営、2代目の使い込みなど、従業員の会社に対する不満はずいぶん溜まっていたと予想される。第三者による会社乗っ取りが起きれば、もちろん従業員にとってもただことではない。黙って従うほうがおかしいと考えるのは普通だ。

解任同意書

 しかし、この件では従業員の反対の声が挙がってこなかった。どちらかといえば、経営陣が入れ替わることを歓迎していたかのようにすら感じる。それを裏付けるのが、複数枚にわたる「三興代表の解任要求への同意書」。理由には、「会社に対し、長年に渡り多大な負債を生じさせたことへの経営責任が重大である」と記載されている。役員が一新された、つまり代表が解任された4月10日に備えてか、同年3月中に従業員10数名の署名捺印がなされた同意書が確認された。これは偽造ではなく、本心からのサインだろう。たとえ乗っ取りでも、今の経営陣が一新されるなら、受け入れようというのが本音ではなかったか。

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 創業一族は従業員による代表解任の同意書の存在について、こう語った。「従業員に任せっきり。それで社長について行きたくなかったのだろう。部長クラスが印鑑を押したので、皆同意せざるを得なかったのではないか。親族である従業員まで同意しているのは、ここまでやらないと経営陣が気づかないと判断したためだろう。これまで会長や社長に意見しても、通ることはなかった。会社を変えるためには、賭けに出るしかない。そうやって、同意書にサインした。今思えば、それまでの経営が本当に情けない」――後悔のためか、その目には涙がにじんでいた。

 「これら社員の心情を利用したのが、実権を握った加藤らだ」と創業一族はいう。従業員には会社を立て直すと公言していたというが、許認可の「代表者」変更届は数カ月経過した時点でも提出されていなかったことが確認されている。事業継続の意思があれば、最初に行うものといってよいが、はたして新経営陣に本気で立て直す気があったのだろうか。社員らも加藤氏を信用しているから、賛同したわけではないだろう。それほど当時の経営に対する不満が膨れ上がっていたということだ。

 元代表夫婦が従業員に対し、最も伝えたかったのは、「不法行為によって、計画的に乗っ取られた」ということ。経営権を失ってから、事務所への出入りができなくなった。従業員に謝罪し、事情を説明する機会がもてなかったことを今でも悔いているという。

 次項では、会社を取り戻すために起こした裁判について、詳報する。

(つづく)
【東城 洋平】

▼関連リンク
道の駅運営業者、行政から破産申し立てられる~背景に経営権をめぐるトラブル
(株)三興(大阪)/建物サービス

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