2024年04月20日( 土 )

人々を幸福にするプラットフォームへ 次世代のための新事業「Pando」(4)

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(株)クインテット 代表取締役 松下 耕三 氏

責任をはたす

社員と机を並べる松下代表

 ―会社を訪問して気づきましたが、御社には社長室がなく、松下社長は社員の皆さまと机を並べて仕事をされていました。この点、どのようなお考えがあってのことでしょうか。
 松下 社員が10人くらいのときは、私の机が一番小さくて哀れな感じでした(笑)。当時は、自分は別に場所を問わないし、社員が働きやすいほうが良いと思っていました。社員がより快適に、ベストパフォーマンスを出せる場所を用意するのが自分(社長)の仕事だと思っています。

 会社の規模も大きくなり、余裕も出てきたので、少し立派な社長室があってもいいかなとは思いますが、やはり社長室に籠っていたら、社員の雰囲気がつかみにくいのではないかと思います。また、社員と同じような環境で働いても距離はできてしまうので、できるだけ仕事はオープンにして、細かい現場的な仕事も“実際にやってみせる”というのが私のスタイルです。そういう面でも、この環境のほうがやりやすい。プレーイングマネージャーみたいなものですね。私は“責任をはたす”ということが一番大切だと思っており、そのために必要ならば出て行くというだけなのです。

 私から見て適切な医療を患者さんに提供するのと同じように、我々が請け負った責任をはたす、最善の治療を尽くすというくらいのクオリティをしっかり提供していなければ、仕事にはなっていないと思っています。

 社員には、いつも同じ話をしていますが、「これがもし本当に命がかかった患者さんだとして、みんなが医者だとして、たくさん患者がいて忙しいから、この子をほっといてもいいとか、今病状が悪化していないから、本当はこういう治療をやったほうが良いけど、それを疎かにしていいのかっていうと、そうじゃない。今、小児外科で手が回らないなら、ほかの外科の先生で手伝えることもあるし、それこそ受付のスタッフが暇にしていたら、何かやれることもある。もし、ほかの外科の先生が、小児外科が大変なので手伝ってくださいと頼まれたのに『関係ない』とか言って断ったら、患者さん側は『この病院おかしい』と思う。最悪の場合、どうしても対応できず、適切な治療を提供できないのであれば、ほかの病院を紹介し、受け入れてもらえるようにお願いしなければ良けません。責任をはたすということが一番大切です。そこから考えれば、いろいろな選択肢が見えてくる」と。

 弊社の仕事であれば、私に頼んでもいいし、ほかの部署に頼んでもいいし、奥さんが専業主婦だという社員が何人かいますが、奥さんに、1カ月だけアルバイトをしてもらえませんかなど頼んでやってもらえることがあるかもしれない。いろいろな選択肢がありますが、この“責任をはたす”ということが最優先でなければ、人手が足りないなど、そういう理由で責任をはたさずに放置しても何とも思わなくなります。

 社長は、あまり現場に首を突っ込むのはよくないなどという理屈が世の中にあったとしても、私はまずそのようなことより、“責任をはたす”ということを最優先に考えています。それが私の仕事の流儀だと思っています。

(了)
【聞き手・構成:山下 康太】

<COMPANY INFORMATION>
代 表:松下 耕三
所在地:東京都新宿区市谷本村町2-10
設 立:2003年12月
資本金:1,620万円
URL: http://pando.life/qwintet

<プロフィール>
松下 耕三(まつした・こうぞう)

1977年、福岡県生まれ。東京大学理科二類(農学部)に進学、大学卒業後の2003年、(有)TRCを設立。05年(株)クインテット設立し、代表取締役となる。18年からは新たなビジネスプラットフォーム事業を推進する。

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