業者間の物件情報流通を震災以前の水準へ~物件オーナーと入居希望者の頼れる仲介人(中)
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震災から1年、「日常」は戻ってきたのか
――震災から1年が経過しました。
川口 地震から1年経った今も、復旧工事に携わりながら業務を進めている状態です。工事業者さまの確保も難しく、空室の原状回復工事にも時間がかかり、入居をお待ちいただくこともあります。地震の発生が異動の多い繁忙期後だったため、工事業者様は落ち着く間もなく、2016年1月ごろから現在まで稼働し続けている状況だと思います。今年のゴールデンウィーク明けごろに、やっと一息つけるといった感じではないでしょうか。
行政の迅速な対応により、日常生活の面では支障ない程度まで戻ってきていると思いますが、正直なところ不動産業界においては、復興はまだまだだと感じています。解体業者から聞いた話では、益城町など甚大な被害を受けたエリアを含め、現在、熊本における解体工事の進捗率は60%程度とのことです。解体待ち・解体中の現場がなくなり、土地が活用できる状態になり、そこに建物が建つ。そうして街並みが戻ってくるのを目にするまでは、復興を実感することは難しいかもしれません。
震災の影響と復興に向けた取り組み
――震災は営業にどのような影響を与えましたか。また、業界の復興に向けどのような取り組みが必要となりますでしょうか。
川口 震災の影響で、持ち家がある方々も賃貸物件に移り住まれていることから、需要は高まり、16年の弊社への来店も前年に比べ大幅に増加しました。グループ会社が管理する賃貸物件も、貸出不能になった部屋が約300戸と絶対数が減ったこともあり、今年2月の時点で入居率が最大で99.44%を記録し、空室が100戸程しかないという状況になりました。
入居率が高まることは管理会社としては当然良いことではありますが、物件を仲介する立場からすると、紹介できる物件が少ないというのは顧客のニーズに応えることが難しい状態だといえます。成約件数を見ても、弊社が展開する熊本エリアでの2015年の総数約6,000件に対し、2016年は総数約5,500件と500件程減少しております。そのうち約1,000件程が、仲介業者として受領できる仲介手数料が賃料の半額を上限と定められているみなし応急仮設住宅による成約でした。
賃貸物件の需要が上がり、供給できる部屋の絶対数が減る現状で必要なことは、業者間の物件情報流通を震災以前の状況に戻すことだと考えております。さまざまな理由から物件情報の流通が滞っているため、お客さまはいくつものお店をご自分の足で回らなければなりません。以前のように1つのお店でたくさんの不動産会社の物件情報を得られれば、お客様の利便性は上がり、不動産業界も活気を取り戻す1つのきっかけとなると思います。これらを成し遂げるために、弊社は率先して物件情報を他社の不動産会社へ提供しております。
(つづく)
【代 源太朗】<COMPANY INFORMATION>
(株)明和不動産
代 表:川口 英之介
所在地:熊本市中央区辛島町4-35
設 立:1986年4月
資本金:7,160万円
URL:https://www.meiwa.jp/<プロフィール>
川口 英之介(かわぐち・えいのすけ)
1979年10月生まれ、37歳。熊本県出身。学卒後、日本管理センター(株)に就職。北海道・東北エリアをはじめ、北関東・甲信越エリアを担当し課長代理職まで経験。同社退職後明和不動産へ入社し、2016年1月に代表取締役に就任した。関連記事
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