2024年03月29日( 金 )

「FUKUOKA growth next」も始動、勢いづく旧大名小学校跡地再開発(前)

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 天神ビッグバンエリアの西の玄関口にあたる「旧大名小学校跡地」。福岡の都心・天神に隣接した大名地区において約1万1,900m2のまとまった敷地面積の再開発をめぐっては、その動向が注目を集めている。今年3月には「旧大名小学校跡地活用プラン」が策定されたほか、4月からは旧大名小学校の校舎を活用した官民協働型スタートアップ支援施設「FUKUOKA growth next」がスタート。さまざまな動きを見せている旧大名小学校跡地再開発の現状を追った。

旧大名小学校跡地活用プラン策定

 児童数の減少により、2014年3月に閉校となった大名小学校。地域活動や災害時の避難場所としての役割を担う場所であるとともに、さまざまな都市機能や交通拠点が集積する天神地区に隣接しており、都心部の機能強化と魅力づくりを図るうえで、重要な場所となっている。

 16年5月に開催された「旧大名小学校跡地まちづくり構想」に関する民間提案公募の説明会では、同地の役割を「大名地区と天神地区をつなぐマグネット」としており、(1)歴史文化性、(2)創造性、(3)居住性、(4)防災性、(5)一体性、(6)回遊性――の6要素を兼ね備える必要があることが強調された。同跡地の敷地面積は約1万1,900m2。周辺エリアも含めた整備提案も可能であることから、提案次第で同跡地だけでなく、大名エリアの景観や存在感を大きく変えることもできる。
 同跡地活用をめぐっては、16年5月より民間提案公募が開始され、16年12月には跡地活用の検討状況および跡地活用プラン(骨子案)が公表された。そこで示されたまちづくりのコンセプトは、「人・モノ・コトが交流する新たな創造の場へ ~グローバル×クリエイティブ×リレーション~」となっている。実現に向けたまちづくりの方向性については、(1)「地域特性を活かした歴史や文化、緑、賑わいをつなぐ場の創出」、(2)「多様な人材・企業が集まり交流する新たな価値を生み出す場の創出」、(3)「都市ブランドを高める高質で魅力的な場の創出」――の3つが示された。

 そして今年3月には、「旧大名小学校跡地活用プラン」が策定。これは前述の「旧大名小学校跡地まちづくり構想」を踏まえたうえで、まちづくりのコンセプトや土地利用、事業手法、地区計画の方向性などをとりまとめたものとなっている。同プランで示された土地利用の方向性としては、跡地に導入する機能について、公民館や老人いこいの家、広場などの“公共・公益的な機能”を確保したうえで、跡地に備える「歴史文化性」「創造性」「居住性」「防災性」「一体性」「回遊性」の6つの要素を踏まえた機能を誘導していくとしている。土地所有形態の方向性としては、地価が非常に高い当該地において、都心部の機能強化と魅力づくりを図るための幅広い機能の誘導とさまざまな企業参画が見込めることなどから「貸付」とし、その種類については、借地期間終了後に土地が返還される「一般定期借地権」が設定される。これにより、跡地約1万1,900m2を一括で民間事業者へ貸付を行い、導入必須である公共・公益的な機能および導入を誘導する機能等を敷地内に配置することになっている。

 今後は、今回策定された跡地活用プランを踏まえながら、4月から都市計画手続き等が行われ、今年10月には事業者公募手続き等を予定。18年3月に事業者決定と18年10月以降の事業着手を目指している。

(つづく)
【坂田 憲治】

 
(中)

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