2024年03月28日( 木 )

「留学生集めても、教室がない」関係者が語る東京福祉大学

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 「留学生を集めるだけ集めて、教室がないし、教員も揃っていない」――そう語るのは、大勢の留学生が入学後に所在不明となっているという東京福祉大学の関係者。留学生の在籍数が日本で2番目に多い東京福祉大学で発覚した留学生失踪問題。昨年4月、学部に入る準備過程の「研究生」として入学した約2,600人のうち、約700名の留学生の所在がわからず、除籍処分となっている。2016年度からの3年間では1,400人以上の所在がわからなくなっているという。

 日本学生支援機構の統計によると、平成30年5月時点で、同大の外国人留学生の受入数は5,133人で、前年から1,400人も増加。増加数では群を抜いている。

 同大発表の資料で公表された学生数には、問題の「研究生」が含まれていない。平成30年度の入学者は1,069人となっているが、上記の外国人留学生受入数は1,400人増加しており、学部入学者よりも研究生が上回っていることになる。

 また全学部を合わせた収容定員数は4460となっているが、同時点で外国人留学生の受入数は5,133人となっており、収容定員をはるかに超える留学生を受け入れていることになる。「教室がない、教員がいない」という関係者の話は数字だけを見ても明らかだろう。

 日本で大学進学を目指す外国人留学生は多く、彼らは来日後、まず日本語学校で日本語を習得した後、日本人と同じように大学受験する。実際、学生を同大に進学させたことのある日本語学校関係者にも今回の問題について聞いてみた。

 「入学試験は有ってないようなもの。逆にほかに進学先が見つからない学生にとって、最後の頼みの綱」

 「合格しやすいから学生は希望するが、リスクは説明して受験させていた」

 「少人数でも苦労するのに、これだけの留学生をどうやって指導しているのか疑問だった」

 業界ではずいぶん前から入学者の多さと合格率の高さを疑問に思う声が出ていたようだ。可能な限り、入学させて管理できないまま、今回の問題は発覚した。700人の所在が不明となっており、不法滞在につながる可能性もある。冒頭の「教室がない」という話もそうだが、「大学は初年度の入学金と授業料だけをかき集めたのではないか。不法滞在を助長した」――そう取られてもおかしくない事態だ。同大に何らかの改善指導が出されるのは間違いないところだが、適正な運営を行っている教育機関に対しても実態調査が行われることになるだろう。

【東城 洋平】

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