2024年03月29日( 金 )

低炭素で楽しく暮らせるまちづくり~BONJONO(1)

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 2017年、国土交通省が開催した「第1回先進的まちづくりシティコンペ」で、国土交通大臣賞を受賞した北九州市の「みんなの未来区BONJONO(ボン・ジョーノ)」。自衛隊分屯地の跡地開発として始まった城野地区の再開発は、低炭素社会実現のための取り組みや、住民・事業者が自らの手でまちづくりを進めていくというユニークな手法が採られている。BONJONOの取り組みをレポートする。

環境都市の新たな街づくり

先進的なまちづくりが進む小倉北区・城野地区

 北九州市の歴史を振り返ると、公害との戦いを挙げることができる。明治新政府の一大国家プロジェクトである八幡製鐵所が1901年に操業開始して以来、北九州工業地域として北九州市は発展していった。製鉄所を中心に、関連する産業が集積し、洞海湾沿岸は工場が所狭しと軒を連ねた。工場から延び出る煙突からはもうもうと煙が吐き出され、また、工場から出る排水は海を汚していったのである。戦後、高度経済成長期になり、水俣病などが社会的な問題として指摘されるようになった。北九州市の場合は具体的な病名がつくようなものはなかったが、それはたとえば洞海湾の汚濁が激しすぎて大腸菌さえ棲めないレベルに汚染されてしまったことで、魚がいなくなったからだともいわれている。

 それほどまでに悪化した環境を、北九州市は完全に克服することができたのである。まず声を上げたのは、幼い子どもを持つ母親たちだった。「青い空がほしい」というスローガンを掲げ、自主的に環境測定を行い、改善を要求する運動を起こしたのである。それに企業と行政も応えた。汚染物質の除去、生き物の棲めなくなった洞海湾の浚渫などに取り組み、今では世界トップクラスの環境都市として認知されるに至ったのである。

 このような歴史から、北九州市は環境に対する意識が非常に高い。市は「環境未来都市計画」を2012年に策定、低炭素社会の実現を目指して活動を開始している。
 そうしたなかで、新たな取り組みとして低炭素社会におけるモデル的な住環境の創出を計画したのである。それが「みんなの未来区BONJONO(ボン・ジョーノ)」(以下、BONJONO)だ。キーワードはゼロ・カーボンとタウンマネジメントにある。

(つづく)
【柳 茂嘉】

 
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