2024年03月29日( 金 )

朝倉市の公共施設で指定管理者を解除 事故処理巡り市と意見対立

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 朝倉市は3月22日、温泉施設「健康福祉館 卑弥呼ロマンの湯」(同市甘木)を運営する会社の指定管理を3月末で取り消し、4月から市直営にすると発表した。

 昨年末に発生した温泉設備の事故処理などをめぐり、指定管理者と市の意見が対立していた。

 同施設の指定管理者として、市と指定管理協定を締結しているのは(株)ビクトリー(同市美奈宜の杜、鳥飼正美代表)で、2018年4月から5年間の契約だった。

 同市によると、昨年12月31日午後8時頃、温泉を汲み上げてろ過する装置(源泉ストレーナー)のアクリル製の蓋が割れて、噴出した温泉によりほかの機器が故障したという。市が問題視したのは、事故発生前後のことで、ある従業員の証言では同日朝には蓋に異常が発生しており、それを会社が把握しながらも、営業を続け、その後の故障につながったというもの。また事故後の報告書で、源泉ストレーナーの管理について、実際とは異なる記述がなされていることを虚偽報告と判断した。

 事故発生後、市と指定管理者、双方で協議が行われたが、結論は出ないまま、ビクトリーは「信頼関係が崩れた」ことを理由に、2月末に市に対し、指定取消申出書を提出。同社が同申出書を館内に掲示したり、利用客に配布したりしていたことを重く見た朝倉市は基本協定に定める業務以外の行為を行ったとして、3月20日指定取り消しを決定した。

 3月末で指定管理を解除されるビクトリーは「口封じで解除された。法的措置も検討している」と穏やかではない。同社は市に対し、「事故原因は経年劣化によるものだが、あたかも弊社に責任があるかのように述べて、費用負担を拒否した」と主張。これが協定違反に当たるとして、自社の指定管理の解除を申し出ていた。

 同社代理人弁護士によると、市は事故の起きた朝に異常を把握していたとしているが、館長はそれを知らされておらず、報告を無視して営業を続けていたわけではない。指定取消申出書を掲示・配布したのは、利用者に4月以降の利用について説明するため。回数券を購入している利用者も多く、理由もなく閉鎖するわけにはいかなかったという。

 平成16年の開業後は市が運営していたが、平成20年度から同社が指定管理者として、運営を手がけている。同施設は事故後、2月末までは休館していたが、3月1日から再開。4月1日から市が直営するが、引き継ぎなどのため、当面の間休館する。平成29年度の年間利用者は約15万人。市によると、同社が指定管理者となってから、今回のトラブルまでは目立った問題は起きていなかったという。

【東城 洋平】

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