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2019年03月28日 09:57

創業一族が語った大阪ビル管理会社破綻の真相(10)身代わりと受け皿会社

 業歴40余年の大阪のマンション管理会社が2018年12月、債権者である自治体から大阪地裁に破産手続きを申し立てられ、経営破綻した。地元メディアが一斉にこの破産を報じたのは、不特定多数が利用する公共施設の指定管理者だったからだ。「いずれ行き詰まる。計画倒産させるはず」――そう同社の末路について語る関係者らと、筆者は破産の半年も前に出会っていた。すでに起きていた同社内部の異変。現場では何が起きていたのか。

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 乗っ取られる以前から、すでに資金繰りが厳しい状態にあった三興。同社は奈良市の道の駅「針テラス」の指定管理者として長年、運営を行っていたが、2017年11月から奈良市に支払うべき賃料が未納となっていた。

 奈良市から情報公開請求により入手した資料によると、2018年11月までで合計未納額は1億円を超えていること、さらに同社が市の承諾なしに同社所有建物に抵当権を設定しているという契約違反が判明。18年5月頃から市は抵当権の抹消を求めて、同社から回答を求めるも返事はなかった。

 市が代表交代を知ったのは6月頃。市は加藤新代表に対し、代表交代の経緯や三興の経営状況を報告するように求め、面談を行っている。10月、針テラス南館の1番抵当権者である山陰合同銀行が、競売開始の通知を出したことで、奈良市の動きは加速する。加藤代表は道の駅事業の継続を希望し、競売開始までの間に調整するとの回答を行っている。12月、さらに経営状況は悪化。加藤代表は奈良市に針テラス事業を他社に譲渡したい考えを示す一方で、テナント料すべての差押を防ぐために、針テラスの北館を抵当権者に2億円で売却した。

 以上のように説明しているが、見方を変えればとにかく残せる現金を増やすための行動とも取れる。この行動に奈良市もさすがに我慢できなかったのだろう、12月21日、事業契約を解除。三興は同日、奈良市より破産を申し立てられ、事実上の倒産に至った。

 関西を中心に地元メディアが公営施設の運営業者の破産を大きく報じた。しかし、法人代表者の名前は加藤博得ではなかった。破産を告げるニュースに出てくるのは、誰も知らない「櫻田好士」。奈良市の担当者も直前での新たな代表交代を知らなかった。加藤「元」代表のこれまでの一連の行動から、多くの関係者から「櫻田は身代わりではないか。責任を押し付けて、加藤が逃げた」という声が聞かれている。現在、破産管財人が債権者を特定する作業に追われていると見られるが、納得のいかない多数の債権者が存在すると予想される。紛糾は避けられないと思われる債権者集会は5月15日を予定している。

 なお、加藤元代表を含む乗っ取りに関与した数名が今年2月、大阪市の医療法人の資金調達をめぐり、私文書偽造・同行使により逮捕されている。(加藤氏は後に釈放されている)三興が倒産する以前より、大阪市北区のF社を受け皿とし、水面下で事業を引き継いでいる模様である。

(了)
【東城 洋平】

▼関連リンク
道の駅運営業者、行政から破産申し立てられる~背景に経営権をめぐるトラブル
(株)三興(大阪)/建物サービス

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