2024年04月18日( 木 )

九州トップレベルの知の拠点、人『財』の育成・輩出を通じ飯塚市の活性化に寄与(後)

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(国)九州工業大学
大学院情報工学研究院長 大学院情報工学府長
情報工学部長 教授 博士(工学) 梶原 誠司 氏

 ――アジアIT特区でもある飯塚市ですが、情報教育の状況はどうでしょうか。

(国)九州工業大学 飯塚キャンパス

 梶原 ITを活用した取り組みで今注目されているのが、小・中学校における人型ロボットとの触れ合いを軸とした特別授業の導入です。ソフトバンクの感情認識ヒューマノイドタブレットPepper(ペッパー)を活用して授業を行うというもので、すでに市内の小・中学校14校で各学校に7台導入されています。この教育の一部に、本学の教員も関わらせていただいています。

 また、本学教職員および学生が小学生を対象としたプログラミング教育の推進を行っているほか、飯塚市・嘉麻市・桂川町ではプログラミング・IT教育事業を手がけるライフイズテック(株)(本社:東京都港区、水野雄介代表)と連携し、中・高校生向けに教育プログラムの提供を実施しています。大学生にはイノベーションを生む思考やITスキルを身に付け、中・高校生には早い段階からプログラミングやITを学ぶ機会になります。このプログラミング教育を受けた小・中・高校生が大学生になり、今度は教える側に回るといったような、地域の継続的な人材育成システム構築に取り組んでいます。

 本学卒業生のなかには在学中に情報サービスの開発で一定の成果を上げ、それを武器に起業した方もいらっしゃいます。本学ではそうしたOBの方や著名な起業家の方のセミナーなどを通じた起業家教育も今後充実させていく予定です。これは、シリコンバレーの起業家精神(アントレプレナーシップ)に学び、リーダーシップ教育を通じて次世代の産業を担う科学技術者を育成しようという試みです。

九工大による地域貢献

 ――九工大では教員、学生が積極的に地域との関わり合いを持たれています。

 梶原 これまでも、小・中学生向けの理科実験教室を行ってきました。これは、学生が実験テーマのアイデアを投入し、講師となって小・中学生を指導するものです。2012年度から毎年実施しており、毎回、テレビや新聞のマスコミにも取り上げていただいています。

 また、本学の教員が主体となって行っている地域交流の1つが、「サイエンスカフェ@九工大情報工学部」です。一般の方が、教員とお茶やコーヒーを飲みながら、気軽に科学について語り合うことで、コミュニケーションを図ると同時に、科学に興味を持ってもらおうという試みです。

 ――九工大の今後の地域貢献について、目標などあればお聞かせください。

 梶原 情報系のツールを活用してできることは多岐にわたります。本学では授業の一環として、ドローンを利用した空撮によるPR映像の作成も行いました。こちらは評判も良く、飯塚市のPR映像の作成にも発展できないか模索しています。私たちにとっては、研究・開発したものを実地で検証できるというメリットもあります。大学と地域が相互扶助の関係であり続けられるように、本学はこれからも教育のインタラクティブ化に努めていきます。

(了)
【代 源太朗】

<INFORMATION>
(国)九州工業大学
創 設:1909年4月
飯塚キャンパス:福岡県飯塚市川津680-4
TEL:0948-29-7500

 
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