2024年03月29日( 金 )

2025大阪万博決定で関西ヘルスケア産業が一気に加速! 医療・創薬、IT、金融など新たなヘルスケア・エコシステムを再構築へ!(後)

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2019~2021年には関西で3つのイベントが開催

 健康長寿に欠かせない大きな要素の1つが、運動・スポーツだ。19年から3年間、日本では3つの国際的なスポーツビッグイベントが続けて開催されるのはご存知の通りだが、関西もその舞台となる。

 まず、本年9月から開催されるラグビーワールドカップでは東大阪市花園ラグビー場と神戸市御崎公園球技場が関西での会場となる。世界のラグビーファンの間では「HANAZONO」の知名度は抜群だ。さらに、20年の東京オリパラでは多くの国々がこの関西の地でも事前キャンプを張り、大阪、京都、兵庫の3府県だけですでに19カ所のキャンプ地が決定している。

 そして、21年にはアジア初となる「関西ワールドマスターズゲームズ2021」が大阪を中心とした関西8府県で開催される。生涯スポーツを目指し100歳以上のカテゴリーまで有するこの世界大会は、競技参加者だけで約3万人が想定(東京オリ・パラは約1万人)される一大イベント。日本でのスポーツ愛好家の増加だけでなく、新しいスポーツ産業の創出にも大きな期待がかかる。

「ウェルネス」を旗印に大阪で2つのビッグプロジェクト

ウェルネスタウン「うめきた2期」

 もう1つ、関西での「ウェルネス」に関するキーワードは「2024年」だ。実は、この年に2つのビッグプロジェクトが大阪で予定されている。

 1つは万博会場と同じ夢洲に計画されている「統合型リゾート(IR)」。14年10月に、関西経済3 団体と大阪府、大阪市で構成する「夢洲まちづくり構想検討会」が立ち上がり、17年2月には、IRを核とした国際観光拠点の形成を実現するための指針「夢洲まちづくり構想(案)」が取りまとめられていた。そして、2018年7月に「特定複合観光施設区域整備法」(IR整備法)が可決・成立したのを受けて、現在は「大阪IR基本構想」の策定に向けた検討が進められている。

 「ビジネス創出に寄与する人・モノ・情報・技術の交流拠点、世界水準の質・規模の展示施設、会議場などを備えた複合施設」と「海外・国内からのゲートウェイとなる広域観光拠点、使いやすさ世界No.1のオールインワンMICE拠点」が構想の軸となっている。

 この大阪のIRが目指す「シンガポール型IR」は総面積に対するカジノの専有面積はたったの3%しかない。ほかは国際会議場や国際展示場、レストラン、ショッピングモール、エンターテインメント施設、ホテルなどを擁するMICE(Meeting(会議・研修)、Incentive(招待旅行)、Conference(国際会議・学術会議)またはConvention、Exhibition(展示会))を目指す。すでに、構想のなかに「メディカル、スポーツ、フードなどをテーマにしたニューツーリズムの創出」の一文を見ることができる。また、世界初の「ウェルネスIR」構想の情報もあり、万博と同じ夢洲が舞台という面でも目が離せない。

 もう1つが、大阪駅北側に広がる広大な土地に予定される「うめきた2期開発」だ。先にスタートした「うめきた1期開発」では、13年4月に開業した複合施設「グランフロント大阪」が、4年間の累計来場者延数が2億人を突破する快挙を成し遂げている。

 これに続く「うめきた2期開発」は三菱地所(株)を代表企業とするJV9社と設計・運営事業者6社とが組むコンソーシアムが開発を担当することが18年7月12日に発表された。「みどりとイノベーションの融合」がまちづくり方針の理念で、テーマはずばり「ウェルネス」。訪れるだけ、住むだけで人々が健康になる街が、大阪万博の1年前に大阪駅の隣接地にでき上がることになる。

 本年6月にはG20がインテック大阪で開催される。ここでは、25年の大阪万博開催が話題に上がることは明白で、ほかにも大阪・関西一連のウェルネス産業振興の計画が、どのように取り上げられるのかも興味深い。

(了)
【取材・文・構成:継田 治生】

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