「業界の破壊者ではない」OYO LIFEの戦略とビジネスモデル(後)
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OYO TECHNOLOGY&HOSPITALITY JAPAN CEO 勝瀬 博則 氏
住宅は余っている、そういうモノはネットが強い
――賃貸住宅は、同じ建物の同じ間取りの部屋でも、入居者が支払っている賃料が大きく異なることが珍しくありません。OYO LIFEやサブスクリプション型賃貸住宅が、わかりやすい契約、わかりやすい賃料を“当たり前”にすることで、業界からの反発はないのでしょうか。
勝瀬 業界も、わかりやすい契約、わかりやすい賃料でないと借りてくれない時代が、すぐそこにきていると感じていると思います。
日本は戦後焼け野原となり住宅が極端に不足、また経済復興で爆発的に人口が増え住宅不足でした。借家を建てれば、当たり前に入居が決まるといった状況でした。この状況では貸し手が強いので、契約や賃料がわかりにくくても借り手は文句をいえません。しかし、すでに数年前から、日本は都心の一部を除いて供給過多な状態です。人口も減少しています。このような供給過多の市場では、借り手が強くなります。そして借り手はさまざまな要求をします。顧客へのサービスをどんどん充実させないと、借りてくれないようになっていくはずです。
私は、世界最大のホテル予約サイトのブッキングドットコム日本代表でした。驚くべきことに、ブッキングドットコムの予約キャンセル率は70%にも上ります。キャンセル率が高いということは、ユーザーのリスクが低いということです。徹底的にユーザーに寄り添う、カスタマーズファーストだからこそ、ブッキングドットコムは使われるのです。また、ホテル側にとっても、たとえキャンセル率が70%だとしても、1万人予約のうち3,000人が宿泊してくれるのであれば、キャンセル率0%でも100人しか宿泊してくれないサービスよりはブッキングドットコムを利用します。
顧客に寄り添うことで圧倒的な客付け力を手に入れたことにより、ブッキングドットコムは世界一になったのです。賃貸不動産でも同じことが起きるかもしれません。
――OYO LIFEで取り入れているカスタマーズファーストのポイントは、どのようなものがありますか。
勝瀬 ユーザーの声を拾うことです。現在用意している物件は、ワンルームマンションがメインですが、「寝るだけでいい」「インターネットができればいい」というのがワンルームユーザーからの強い要望でした。ですから、ベッドとWi-Fiを標準装備しました。さらに、ガスや電気などの契約も面倒だと感じているようです。だから、我々が代わりに契約をしてから提供するようにしました。生活の基本は「衣食住」と言われていますが、試着や試食はあっても“試住”はなかったですよね。住む前に試してみたいという声があったので、「試し住み」のプランも準備しようとしています。
人材、技術のOYO、数と速度で勝機
――OYO LIFEの強みは、どこにあると分析していますか。
勝瀬 カスタマーズファーストであることです。OYOはホテルのオペレーションを手がけてきました。ホテルというのは、予約管理やベッドメイキング、顧客対応など、非常に多くの作業を要します。これら煩雑なオペレーションを、ITを使って効率化してきた会社です。賃貸住宅でも、ITを生かして顧客に寄り添うサービスを提供したいと思います。日本でIT技術者を確保するのは困難ですが、インドや中国に大量のエンジニアリソースをもっていることは、我々の最大のアドバンテージの1つです。なぜなら、サービスの開発を安く、早く世に出すことができるからです。
我々が提供するサービスのすべてが成功するわけではないでしょうが、良かったものを生かす、悪かったものを改善する、そのスピードが早ければ早いほど、競争力は増すのです。
――現在、OYO LIFEではワンルームマンションが多いようですが、今後の商品展開では、ファミリータイプなどの供給も考えているのでしょうか。
勝瀬 もちろんです。そのためにも、事前登録していただいている1万人以上の顧客のニーズを丁寧に拾っていくことが大事だと考えています。たとえば、「どのような物件に住みたいですか」「それはどのエリアですか」「何人で住みますか」「家賃はいくらぐらいですか」などのアンケートを取ることで、効果的な仕入れとサービス提供が可能になっていきます。
また、物件に「OYO LIFE」というブランドがつくことで、より競争力のある物件にしていきたいと考えています。供給物件はこれからも増やしていきますが、ここでも我々はITを使って、効果的にスピード感をもって取り組んでいきます。
担当者が地図アプリで該当する物件を選べば、自動的にOYO LIFEアプリが賃料を算出して、その場でオーナー借り入れ価格を提示することができるようになります。すでに仕組みはできていますので、データが一定数集まれば、加速度的に物件が集まっていくと信じています。OYO LIFEで日本の賃貸住宅を、便利に、よりわかりやすくしていきたいですね。
(了)
【永上 隼人】<Company Information>
OYO TECHNOLOGY&HOSPITALITY JAPAN
代 表:勝瀬 博則
所在地:東京都千代田区大手町1-1-2 大手門タワー
設 立:2018年7月
TEL:0120-132-722
URL:https://www.oyolife.co.jp月刊誌 I・Bまちづくりに記事を書きませんか?
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