SDGsで北九州市はどのように生まれ変わるか?(中)
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北九州市長 北橋 健治 氏
若者定着に全力を挙げる
――北九州市においては、人口減少に歯止めがかからないという課題も抱えていますが、今後の見通しについてはいかがですか。
北橋市長 1985年のプラザ合意以来、通貨が劇的に変化して、国際貿易の状況も様変わりしました。とくに輸出の多い産業は、激しい国際競争に晒され、生き残りを賭けた戦いをしました。そのなかで、鉄鋼業を始めとする伝統的な重厚長大の素材型産業では、合理化や機械化を余儀なくされ、結果的に雇用が失われました。本市の人口減少は、そういう産業構造の変化という大きな流れなかで進行してきました。多いときには、1年間で約1万人減少したこともあります。そうしたなかで北九州市は現在、非常に苦しい状況に直面しています。
ここ数年、「どうやって地方創生を進めるのか」ということが、市政運営上の大きなテーマになっていますが、私は「SDGsは地方創生に資するものだ」と常々考えてきました。SDGsの取り組みによって、若者の定着に全力を挙げる。これは、15年度に策定した「北九州市まち・ひと・しごと創生総合戦略」の基本方針に合致するものです。地方創生はまちづくりの基本ですが、実現のためにはSDGsの取り組みが必要だと考えています。
環境に着目した産業の技術革新の取り組みとして、8年前から洋上風力発電に関する研究調査を進めています。「地域エネルギー次世代モデル事業」の一環として、クリーン電力の供給のほか、関連企業の誘致、企業支援などによる雇用創出を目指した取り組みです。着手当初はあまり注目されませんでしたが、今では日本のトップランナーとして進めています。このほか、レアメタルなどの資源リサイクル産業の育成にも努めています。この環境関連産業において、魅力ある職場づくりや雇用創出を進めていくことにしています。これらは、SDGsの7番目の目標「エネルギーをみんなにそしてクリーンに」に資する取り組みです。
地方創生とは、住み良い社会をつくることでもあります。市一丸となってSGDsに取り組むことによって、まちがより魅力的に、より住みやすいまちになると考えています。SDGsは、地方創生、住み良いまちづくりの追い風にもなるということです。
(つづく)
【大石 恭正】<プロフィール>
北橋 健治(きたはし・けんじ)
1953年3月、兵庫県西宮市出身。78年に東京大学法学部卒業。86年に衆議院議員初当選後、6選をはたす。94年には大蔵政務次官、98年には衆議院環境委員長を務めた。2007年に北九州市長に就任。以後4選。好きな言葉は「ピンチのそばにチャンスあり」。
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