2024年04月20日( 土 )

【企業経営ワンポイント】相続税(納税資金)の財源をつくる

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IYASAKA CONSULTING(株)
玉井 省吾 副社長

 2015年1月1日より、相続税の非課税枠が縮小されました(※)。その後、相談を受ける機会も増えてきましたので、今回は、相続税対策についてお話しします。相続税対策は、大きく2つに分けて考えた方が良いと思います。1つ目は相続財産の評価を下げる対策、2つ目は相続税の納税資金の財源をつくる対策です。 2015年1月1日より、相続税の非課税枠が縮小されました(※)。その後、相談を受ける機会も増えてきましたので、今回は、相続税対策についてお話しします。相続税対策は、大きく2つに分けて考えた方が良いと思います。1つ目は相続財産の評価を下げる対策、2つ目は相続税の納税資金の財源をつくる対策です。

 前者は、貸家建付地の評価減や、小規模宅地等の評価減の特例、生命保険の非課税枠などの活用で対策しているケースが多いです。しかし、後者では、相続財産のなかから納税資金を確保している方が多く、相続によって相続財産が減少してしまうことが予想されています。なぜならば、相続税の非課税枠や税率は変動する可能性があるからです。

 そこで有効な対策として、相続財産に含まれない別の財産を納税資金として準備するのです。暦年贈与で、贈与税の非課税枠を活用する方法もありますが、長期的で時間がかかります。とくに、被相続人の年齢等によっては速やかに準備したいという要望もあります。そこで有効な対策が、生命保険の活用です。

 相続人を契約者、被相続人を被保険者、相続人を受取人とする生命保険(終身保険)に加入することにより、相続税を支払う財源を準備することができます。保険金の受領は一時所得となりますが、相続財産ではありませんので、相続人(受取人)が自由に使うことができます。

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 以前、ある経営者と相続税対策について話をする機会をいただきました。資産約7億円(不動産6億円、金融資産1億円)、家族構成は経営者本人、妻、長男の3人です。相続財産の評価減の対策は十分に検討されており、むしろ私も勉強になったほどでした。

 ただ、納税資金対策が不完全といえる状態だったため、一次相続時(本人が死亡したと想定、配偶者特例を適用)、二次相続時(妻が死亡したと想定)まで伝え、相続財産の減少を抑えるために、とくに二次相続対策として、契約者(長男)、被保険者(妻)、受取人(長男)の生命保険(終身保険保証額3,000万円)を提案しました。相続財産とは別の相続税支払いの原資を3,000万円準備することで、二次相続時の長男に安心していただける提案でした。 これを機に、相続(税対策)について考えてみてはいかがでしょうか?

(※)3,000万円+(600万円×法定相続人の数)=相続税の非課税枠

<プロフィール>
玉井 省吾(たまい・しょうご)
1965年生まれ。長崎出身。88年、福岡シティ銀行入行。県内外の支店に勤務し、中小企業の法人営業を担当。事業者に対し、事業融資、経営アドバイスを行う。99年、外資系保険会社に入社し、ライフプランナーとして勤務。その後、保険を活用した経営コンサル業を開始。2015年より現職。
IYASAKA CONSULTING(株) 代表取締役副社長

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