2024年04月20日( 土 )

市都心部の再開発が進み、さらなる変貌を遂げる中央エリア

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市内の主要機能が集中する中央区・博多区

「(仮称)近鉄博多ビル」建設予定地

 福岡市7区のなかで、いわゆる都心部に位置するのが中央区と博多区だ。中央区は、面積では15.40km2と7区中で最も小さい行政区だが、そのなかで19万6,787人もの人口(住民基本台帳人口・2016年9月現在)を抱えており、人口密度は最も高くなっている(1万2,778人/km2)。一方の博多区は、面積では4番目(31.63km2)、人口では3番目(23万6,859万人)、人口密度は4番目(7,488名/km2)と、ちょうど7区のなかで規模的には真ん中の順位の行政区だ。

 両区とも、市内交通の中枢を担うエリアである。博多区では博多駅や福岡空港、博多港などを擁し、一方の中央区でも西鉄大牟田線・福岡駅、さらに両区ともに福岡市地下鉄の空港線・貝塚線・七隈線の主要駅や、博多バスターミナル、西鉄天神高速バスターミナルなどを擁している。また、交通の結節点であることで、両区には九州最大の繁華街・天神や西日本最大の歓楽街・中洲のほか、「JR博多シティ」「キャナルシティ博多」「博多リバレイン」などの大規模商業施設が集まっており、都心部の商業地としての顔のほか、両区とも福岡市役所や福岡県庁、福岡県警察本部などの公的機関が集中する官庁街でもあり、さらにはオフィス・ビジネス街としての性格も併せもつ。いわば福岡市内の重要な機能・施設のほとんどが両区に集中しているかたちだ。

天神ビッグバンにともない変貌する都心部

「ザ・パークハウス 赤坂タワーレジデンス」建設予定地

 区内の小学校区別の世帯数および人口(17年9月末現在)では、中央区では平尾校区が1万3,192世帯・2万3,576人、舞鶴校区が1万5,114世帯・2万2,103人、警固校区が1万1,081世帯・1万7,810人となっており、世帯数では舞鶴校区が、人口では平尾校区がトップとなっている。

 このうち舞鶴校区は、天神に隣接し「あいれふ」や法務局などの公共施設や官庁が集中している校区で、生活環境にも恵まれ、近年では大型マンションの建設が相次ぐなどして年々人口の増加が進んでいる校区ではあるものの、世帯数や人口が区内で上位にきている要因としては、14年4月に近隣3校区の小学校の統廃合により舞鶴小・中連携校が開校し、それにともなって校区が拡大した影響が大きい。一方の人口トップの平尾校区は、都心に近く緑豊かな丘陵地で、東は西鉄大牟田線、北は城南線、西は動物園、南は筑肥新道に囲まれたエリア。バス路線に沿って商店などが並んではいるが、全体的に閑静な住宅地であり、福岡における高級住宅街の代名詞である「浄水通り」「平尾」や「桜坂」の一部などの山の手エリアがこの校区に含まれる。

 中央区内では現在、一大再開発プロジェクト「天神ビッグバン」が進行中だ。同プロジェクトは天神地区におけるインテリジェントビルの建替えを促進し、高質なオフィス・商業空間と都市景観の創出を図ろうというものだが、再開発による天神の価値向上にともない、周辺の住宅需要も高まりつつある。実際、天神ビッグバンの周辺エリアでは、「ザ・パークハウス 桜坂サンリヤン」(322戸、18年8月下旬竣工予定)や「プレミスト天神赤坂タワー」(220戸、18年10月下旬竣工予定)、「ザ・パークハウス 赤坂タワーレジデンス」(159戸、19年7月中旬竣工予定)、「グランドメゾン浄水ガーデンシティ フォレストゲートⅢ」(159戸、18年12月竣工予定)など、大規模なマンションプロジェクトの数々が進行。都市機能の拡充だけでなく、住環境の拡大も進んでいる。

博多駅前はひと段落 今後の目玉は青果市場跡地

 一方の博多区では、博多校区が1万5,478世帯・2万1,737人、那珂校区が1万698世帯・2万1,078名、住吉校区が1万3,463世帯・1万9,702人で、世帯数・人口ともに博多校区がトップである。

 博多校区は、1998年に冷泉・奈良屋・御供所・大浜の4小学校が統合されたことで誕生した。いわゆる“博多部”と呼ばれる、今なお太閤町割の名残や伝統的な博多の情緒が息づく下町の風情を残す地域だ。世帯数および人口が多いのは、やはり4つの校区が統合されたことが大きな要因だ。人口で2位の那珂校区は、福岡空港国際線ターミナルに隣接し、東は御笠川両岸と西は那珂川に囲まれたエリア。校区内にはJR竹下駅があり、ビール工場を始め多くの製造加工業所を有しているほか、都心への利便性から販売・卸売営業所なども多く点在。住宅も多く、小・中学校とも児童・生徒数は市内有数のマンモス校となっている。

 博多区内では、博多駅周辺での「JR博多シティ」や「JRJP博多ビル」「KITTE博多」などの大規模再開発がひと段落した感があるが、今後も筑紫口駅前で「(仮称)近鉄博多ビル」(19年度完成予定)や、博多郵便局の仮設店舗跡地の「(仮称)博多駅中央街ビル新築工事」(18年5月完成予定)などの再開発計画が進行中。また、16年2月に閉場した博多区那珂の青果市場跡地では、約8.8haの広大な敷地の跡地活用をめぐって検討が進められており、17年9月には「青果市場跡地まちづくり構想」を策定。10月には「青果市場跡地活用事業提案評価委員会」が設置され、今後は事業者公募を含めて、具体的にプロジェクトが進んでいく見込みだ。

 もともと、あらゆる機能が集中していた市都心部の中央区と博多区だが、こうしたさまざまな再開発事業の進行とともに、さらに福岡市内を始め県内、九州域内からの「ヒト」「モノ」「カネ」の一極集中が進んでいくことだろう。

【坂田 憲治】

 

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