2024年04月17日( 水 )

回遊性とパブリックスペースの創造で 福岡・大名エリアを観光拠点へ(後)

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 東邦ハウジング(株)・井野屋商事(株)の持ち株会社として、2012年9月に設立された村上ホールディングス(株)。福岡市中央区・大名エリアを拠点に、デベロップメント事業に参入した同社の戦略を、代表取締役の村上篤史氏に聞いた。

(聞き手:永上 隼人)

リピーター獲得につながるまちづくりを

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 こうした取り組みを進めるなかで、よく「事業の多角化を進めるのですか?」と聞かれますが、フードコートは家主業の発展系だと考えています。さらに、レンタルオフィス事業、宿泊施設事業にも注力していきたいですね。レンタルオフィス事業は若手起業家、宿泊施設事業はフードコートと同じく観光客をターゲットに考えています。飲食などが楽しめるフリースペースとしてルーフトップを開放し、時間を気にせず楽しめる空間を提供できればと思います。楽しい体験を提供できれば、良い思い出となり、リピーターの獲得にもつながるのではないでしょうか。

 私はまだ偉そうにものをいえる立場にありませんが、福岡でも関東圏に負けないくらいまちづくりに興味をもつ不動産業者が出てくれば、福岡・九州はより一層おもしろくなると思います。また、すでにまちづくりに関わっておられる方にお願いしたいのは、ぜひビルの一部を、誰でも利用できるパブリックスペースとして開放していただきたいということです。そうすれば、自然と居心地の良いまちになっていくはずです。

完済を機にまちづくりへ挑戦

 ――デベロップメント事業参入のきっかけは何でしょうか。

 村上 先代である父が3年前に病に倒れ、急な事業承継となりました。社長就任当初は、大きく変えることなく堅実な経営に徹していましたが、20年前に建てた本社ビルの借入を完済したのを機に、デベロップメント事業への参入を決意しました。借入の完済は父の悲願でもありましたので、そういった意味でも転換点となりました。
 この挑戦は、先代の遺してくれた積み重ねのおかげであるからこそ、先代とともに基盤を築き上げてきた古参の幹部やスタッフには感謝しています。

 ――最後に、村上代表の考える活力のあるまちについてお聞かせください。

 村上 ニューヨークを訪れた際、24時間運行の地下鉄など1日中まちを楽しめるよう整備されていることに驚かされました。福岡には、ぜひニューヨークのような世界の最先端を行く街になってもらいたいです。タイムズスクエアが看板の多い天神西通り、ブルックリンがアートな香りのする大名、ウォール街が金融関連企業の集う明治通り、セントラルパークは大濠公園と、こじつけかもしれませんが(笑)、私は似ている部分も少なくないと思っています。
 福岡市も地区ごとに構想テーマを掲げ、新しいまちづくりを進めて行こうとしています。その構想に沿って、弊社も福岡のまちづくりに貢献していきたいと考えています。

(了)
【文・構成:代 源太朗】

<COMPANY INFORMATION>
村上ホールディングス(株)
代 表:村上 篤史
所在地:福岡市中央区大名1-9-8
設 立:2012年9月
資本金:900万円
T E L:092-731-5551
U R L:http://murakami-holdings.co.jp

<プロフィール>
村上 篤史(むらかみ・あつし)
1984年1月生まれ。福岡県大野城市出身。学卒後、東邦ハウジング(株)に入社し、2010年に取締役に就任。先代の急逝により、14年10月に東邦ハウジングの持株会社である村上ホールディングス(株)の代表取締役に就任した。趣味は商業施設視察と旅行。

 
(中)

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