2024年04月25日( 木 )

HC市場規模の比較とDIYの現状 背景にある日米のライフスタイルの違い(4)

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成功体験を重ねても頭が柔らかい

 ホーム・デポやロウズのHPは写真中心でわかりやすいのに加えてその至れり尽くせりのサービスをアピールしている。この辺りは日本のHCとはいささか異なる顧客へのアプローチで、HPを見ていると何となくDIYをやってみたくなる。

 ウェイクフィールドリサーチ社によるとアメリカ人の半数はDIYをやりたいと思っているという。とくにミレニアル世代に至ってはその70%がガーデニング・塗装・改修、改装に興味をもっているとのことだ。日本のHCも定年リタイア層に加えて、市場開拓という意味でミレニアル世代へのアプローチに力を入れる必要があるはずだ。

 ホーム・デポはリアル店舗の出店を大幅に縮小している。2001~05年までの年間100を超える出店をしていたが、この5年間の出店は4~6店舗の出店だ。国内に限れば09年から1店舗しか増えていない。しかし、出店をせずに毎年日本の大手HCの年間売上に匹敵する売上を積み上げている。その理由はやはりECだ。アマチュアもプロも簡単な商品はスマートフォンで注文し、あらかじめ店舗で受け取れるようにしている。じっくり選びたい商品だけ売り場で探すというやり方だ。

 最近もIT関連の人員を今年1,000名採用することを発表した。日本の常識からすればHCが一挙に1,000人ものIT専門人材を採用するのは普通ではない。

 EC投資のほかに力を入れているのがM&Aだ。昨年はシーツや寝具の通販大手カンパニーストア社と以前から提携していた小型重機レンタルのコンパクト・パワー・イクイップメント社を買収した。

 カンパニーストアの買収は明らかに寝具大手のベッド・バス・アンド・ビヨンド社を意識したもので、一般顧客とプロ顧客の双方により良く対応するというスタンスが見て取れる。

 プロ顧客は客数こそ5%前後だが、単価が大きいだけに売上に占める比重は30%を超す。プロの買い物だけで日本円で3兆円。これも日本と違った構図かもしれない。

(了)
【神戸 彲】

<プロフィール>
神戸 彲(かんべ・みずち)

1947年、宮崎県生まれ。74年寿屋入社、えじまや社長、ハロー専務などを経て、2003年ハローデイに入社。取締役、常務を経て、09年に同社を退社。10年1月に(株)ハイマートの顧問に就任し、同5月に代表取締役社長に就任。流通コンサルタント業「スーパーマーケットプランニング未来」の代表を経て、現在は流通アナリスト。

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