2024年04月24日( 水 )

「風は気まぐれ」という原稿を読んでいたのか

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 NetIB-Newsでは、政治経済学者の植草一秀氏のブログ記事から一部を抜粋して紹介する。今回は安倍政治に対峙する勢力は、消費税減税と最低賃金全国一律1,500円、そして、原発稼働即時ゼロの鮮明な旗を掲げるべきだとした6月1日付の記事を紹介する。


 6月を迎えた。光陰矢の如しというが、瞬く間に年の半ばを迎えている。

 この6月は2019政治決戦のヤマ場になる。安倍首相が5月30日の経団連定時総会に出席して挨拶した。トランプ米大統領と一緒にゴルフをした時の天気を「すごい風だった」と振り返りながら、「風という言葉には今、永田町も大変敏感だ」「ひとつだけ言えるのは、風はきまぐれで、誰かがコントロールできるようなものではない」と述べた。

 当意即妙の発言かと思いきや、様子が違った。安倍首相は誰かが書いた原稿を読んでいる風であった。このような微妙なことがらこそ、自分の言葉で話した方が良いと思う。別の者が書いた原稿を読むことばかりだから、安倍首相はLEADERではなくREADERだと言われる。それでも、書いてある文章に大きな文字でルビが振られていないと読むことも困難であることが明らかになっている。READERまで失格ということではとても悲しい。

 様子が違ったと見えたのは、「風は気まぐれ」などのフレーズを手元の紙を見ながら話していたように見えたこと。スピーチライターだけでなく政局を定めるシナリオライターまで存在するように思われる。トランプ大統領は記者会見で記者に自由に質問させて、その質問に対して自分の言葉で回答を述べる。ところが、安倍首相の場合、記者会見でも事前に質問を提出させて、官僚が答弁を用意したものを読むだけのことが多い。総理大臣であるなら、自由に質問をさせて自分の言葉で対応するべきであると多くの人が思っている。

 5月25日から3泊の旅程でトランプ大統領が来日した。安倍首相は接待尽くしの対応を示したが、外交的に獲得するものがあったのか。へつらい外交の極みを示したにもかかわらず、得たものは皆無、献上したものは無限大ということでは日本の主権者の悲劇である。

 安倍内閣は米国との間でFTA交渉をしないと強弁しているが、現在進行している日米協議は紛れもないFTA協議である。物品貿易だけが交渉の対象でない。サービスも各種規制、制度も交渉の対象になっている。この交渉の期限をトランプ大統領が8月だとリークした。そして、米国が満足できる譲歩を日本から引き出したことをトランプ大統領がツイートした。米日FTA協議に関する「密約」が結ばれたと見られている。

 米日FTA協議の決着を8月としたのは、7月に選挙があるからだとトランプ大統領が述べた。安倍内閣与党が農村票を失わないよう、米日FTAの決着内容の公表を選挙後に先送りするということらしい。その7月の選挙について、トランプ大統領は複数形で表記した。

※続きは6月1日のメルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」「3泊4日トランプ来日外交の赤字決算」で。


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・植草一秀の『知られざる真実』

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