2024年04月19日( 金 )

不動産業界の異端児から業界を変えるイタンジへ(前)

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イタンジ(株) 代表取締役CEO 伊藤 嘉盛 氏

 日本国内でも、不動産テックが注目を浴び始めている。情報の非対称性や不動産取引の不透明性やデジタル化の遅れは業界の課題として捉えられ、IoTによるスマートホーム化やクラウドファンディングによる小口化、空室のシェアリングなど、コンシューマー向けのサービスが注目を集めている。不動産管理会社や仲介会社向けのサービスを基幹事業とし、今年からはビットコインで売買できるプラットフォーム「HEYAZINE COIN」をリリースして話題となった、イタンジ(株)の伊藤嘉盛社長に、話を聞いた。

ビットコインで不動産を売買できる

 ――1月、ビットコインで不動産の売買取引を決済できるプラットフォーム「HEYAZINE  COIN」(ヘヤジンコイン)をリリースされましたが、反響はいかがですか。

イタンジ(株) 伊藤 嘉盛 代表取締役CEO

 伊藤 ヘヤジンコインを利用するには暗号通貨用のwalletが必要ですが、物件価格や契約時、決済時の決済タイミングの提案から契約書作成、ビットコインの正当性チェック、登記手続きなどのサポート体制を、弊社が仲介業者として用意します。売主さまには物件所有権の移転完了後、弊社から仮想通貨が送金されます。

 売主さまとは通常の不動産仲介と同じく、媒介契約を結ばせていただき、物件価格やビットコインでの決済タイミングをご提案させていただきます。次に、問い合わせ対応や買主さまからの買い付け申込書の受け付け、契約書作成を行います。最後に、希望の決済タイミングでビットコインの支払い受け付けを行い、売主さまにビットコインを払い込みます。抵当権などの担保権がある場合は、法定通貨を銀行などに払い込み、抹消手続きを行います。

 決済できる暗号通貨は今のところビットコインだけですが、今後はほかの暗号通貨にも対応していく予定です。現時点では東京、神奈川、千葉、埼玉の物件だけに絞っていることもあり、まだまだ掲載物件数も少ないですが、不動産の所有者を中心に、多くのお問い合わせをいただいています。9月までに掲載物件数1,000件、取引数300件を目指しています。

 ――ビットコインを始め暗号通貨を決済に用いたサービスを始めるにあたって、変動リスクやセキュリティについてはどのように捉えられていますか。

 伊藤 ビットコインの値下がりリスクは、売主さまが負うことになります。もちろん、そのようなリスクは双方へ説明させていただきますし、ビットコインの正当性については弊社が責任をもってチェックいたします。1月に発生したコインチェックの不正流出のニュースが注目を集めていますが、暗号通貨自体のセキュリティが問題になったわけではありません。弊社も暗号通貨を取り扱う会社として、セキュリティにはしっかりと取り組んでいきます。

 暗号通貨は、今後成長していく分野だと思います。暗号通貨レートは下落基調に入りましたが、まだまだ含み益を抱えている投資家はいらっしゃいます。ボラティリティの高さはメリットもデメリットもありますが、含み益がある暗号通貨を不動産という投資商品に切り替えるニーズは、まだまだあると思います。

 具体的な計画はありませんが、フィンテックと不動産テックをかけ合わせた新サービス開発を進めていきたいですね。

(つづく)
【永上 隼人)

<COMPANY INFORMATION>
イタンジ(株)
代 表:伊藤 嘉盛
所在地:東京都港区芝公園3-1-8
設 立:2012年6月
資本金:5億円
URL:https://www.itandi.co.jp

<プロフィール>
伊藤 嘉盛(いとう・よしもり)
1984年生まれ。早稲田大学大学院ファイナンスMBA修了。三井不動産レジデンシャルリース(株)を経て、2008年に不動産仲介会社を起業。業務のなかで業界の非効率性を痛感し、不動産取引のデジタル革命への志を立てる。12年6月、イタンジ(株)を創業した。

 
(後)

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