2024年04月16日( 火 )

賃貸住宅をIoT化する「TATERU kit」ついに本格供給始まる

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 IoTアパートのモデルルームが、東京都練馬区にオープンした。モデルルームには、(株)インベスターズクラウドが力を入れる「TATERU kit」が導入されており、スマートロックや照明、エアコン、テレビ、カーテンなどがスマートフォンアプリや室内に設置されたセントラルコントローラーから操作できる。これらのほかモデルルームには、ウィンドウセキュリティ、デジタルウィンドウ、ロボット掃除機、AIスピーカーなどが設置されていた。

 TATERU kitは2018年末までに1万台の販売を目標にしており、18年1月時点で4,000台を販売。インベスターズクラウドが販売するアパートへの設置を前提としているが、不動産管理会社などからの問い合わせも多いという。

 オーナーや管理会社にとっては、TATERU kitの活用により、入居促進だけでなく空室状況や内見状況の把握、空室時のセキュリティ対策が可能となる。セキュリティ機器では、小さな振動で発電するバルコニーセキュリティの開発と実証実験も進めている。これは、とくに低層階で懸念されるバルコニーからの侵入者を検知し、スマートフォンアプリへ通知するもの。電源不要のため設置が容易で、比較的低コストで導入できる想定だ。

 アプリは入居者向けのものだけではなく、オーナー向けにも提供を開始。チャットで管理会社とやり取りできるほか、周辺相場から適正家賃を算出するなど、入居募集をスムーズにすることで空室リスクを低減させる狙い。「入居者さまの利便性を向上するため、今後も商品開発を続けてまいります」(同社広報)といい、将来的には、TATERU kitが収集したビッグデータの活用も視野に入れている。

【永上 隼人】

IoTアパート体験記

 1月中旬、モデルルームを訪問。この物件はエントランスにオートロックがついており、ICカード(スマートフォンでも可能)で解錠できた。そして、玄関に到着。エントランス同様、ICカードでドアを解錠する。モーターでサムターンを回す仕組みで、「ウィーン」という音とともにストレスなく解錠された。ドアを閉めると、自動で鍵が閉まる仕組みだ。

 モデルルームにはAIスピーカーが設置されているが、「ただいま」と話しかけると、照明だけでなくエアコンやテレビが作動するように設定されていた。照明は室内に置かれたセントラルコントローラーやアプリで調光も可能。明るさだけでなく、好みによって光色も調節できる。カーテンレールにはモーターがついており、アプリで開閉できる徹底ぶりだ。ワンルームではそれほど必要ないが、高い窓や大きな窓には有効かもしれない。また、窓にはタグセキュリティが貼り付けられ、ロックを解除せずに窓を開けるとスマートフォンに通知が届く。外出時のセキュリティ対策として活用できそうだ。

 帰宅前に、外出先からアプリでエアコンやテレビを操作することもできる。スマートロックはICカードのほかアプリ、リアルキーでも解錠可能。さらに、すべてを室内に忘れてきた場合も、テンキーで解錠できる。

 当然だが、バグなどはなくスムーズに作動した。入居者の立場から見ると、タグセキュリティ、スマートロックなどは防犯面で安心材料になる。進学などで初めての1人暮らしする場合は、親も安心だろう。

 モデルルームは22m2のワンルーム。ここに設置されたTATERU kitは、セントラルコントローラー、ネイチャーセンサーリモートコントローラー(※)、タグセキュリティが1セット、スマートライト、スマートロック。これらの合計価格は17万5,000円(税抜)。窓の枚数や部屋の数によって増設も可能だが、新築時に導入すれば負担感も少なく、入居促進にも効果的だろう。モデルルームが置かれたアパートの募集賃料は、周辺相場から5,000円程度高く設定されている。新築プレミアに、さらに上乗せしたかたちだ。

※ネイチャーセンサーリモートコントローラー
赤外線を使ったリモコンで操作するテレビやエアコンなどの家電が、アプリを通じて音声で操作できるようになる

 

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