2024年03月29日( 金 )

虎党記者のホークス観戦記~待ちに待った阪神タイガース戦

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日本生命セ・パ交流戦2019が始まった。筆者は兵庫県出身で、生粋の虎ファン。筆者のみならず、福岡在住の虎ファンにとって待ちわびた日がやってきた。6月11日に行われた福岡ソフトバンクホークスと阪神タイガースの一戦を写真とともに振り返る。

1回表の攻撃から白熱のレフトスタンド

 筆者がヤフオクドームに到着したのは午後6時過ぎ。試合開始間もないタイミングだったので、弁当でも買ってゆっくり観戦しようと思い球場内に入ると、球場内はすでに熱気に包まれていた。

 試合は1回表阪神の攻撃。1死満塁で迎えるバッターは、右ふくらはぎの筋挫傷により出場登録を抹消され、一時2軍で調整していた福留。

 今年42歳を迎えたチームの大黒柱は、勝負強いバッティングに加え、気迫溢れる守備でもチームをけん引。レフトスタンドの虎ファンはそんなベテランに必死の声援を送るも、結果はあえなく三振に終わる。

 次のバッターは地元福岡出身で今年絶好調のキャッチャー梅野。福岡出身ということもあり、この日のヤフオクドームでは梅野のタオルを持参して応援に臨むファンが数多く見られた。

 今シーズンは虎の扇の要として投手陣を支えるだけでなく打撃面も好調。得点圏打率3割を越える梅野の一打に期待したが、結果はセンターフライ。ホークスのセンター釜元がフライボールをキャッチした瞬間、レフトスタンドからは大きなため息が漏れた。

序盤は両先発投手による投手戦

 タイガースの先発は来日10年目を迎え、今や先発投手陣の大黒柱であるメッセンジャー。今シーズン開幕投手を務めるも、6月10日時点で3勝5敗と負けが先行し、防御率も4点台と打ち込まれる試合が目立ったが、この日は違った。1回こそホークス2番今宮に四球を与えるも、次のバッターグラシアルを5-4-3のダブルプレーに打ち取り3アウトチェンジ。2回裏と3回裏はいずれも三者凡退に抑え、上々の立ち上がりを見せた。

 ホークスの先発ミランダは、初回こそタイガース打線に捕まり1死満塁のピンチを迎えたが、後続をピシャリと抑え無失点で切り抜ける。1回裏終了時点で球数は40球近くに達していたが、2回以降は投球のリズムを取り戻し、いずれの回も無得点に抑えた。

試合が動いた4回の攻防

 4回表タイガースの攻撃は前の打席で三振に倒れた福留が1度もバットを振ることなくフォアボールを選ぶ。続く梅野は初球からいきなりセーフティバントを仕掛け、無死1、2塁とチャンスを広げた。ジェフリー・マルテはファウルフライに倒れたが、続くバッター高山はカウント1-1で迎えた3球目をライト前へ。2塁にいた福留は、怪我の影響を微塵も感じさせない激走で一気にホームインし、タイガースが1点を先制した。虎ファンの興奮冷めやらぬなか、9番ショート北條も手堅くスクイズを決め、タイガースが2点を先取する。

 4回裏ホークスの攻撃は1番ライト福田。カウント0-1からライトスタンドへソロホームランを放ち、反撃の狼煙を上げた。

 試合は4回以降、息詰まる投手戦に。タイガース先発メッセンジャーは8回終了までホークス打線を散発2安打に抑える好投を見せれば、ホークスは7回以降ミランダ→甲斐野→椎野と小刻みな継投により、タイガース打線を抑えた。

起死回生、ホークス今宮の一打で同点に

 9回裏のマウンドには再びメッセンジャー。対するホークスは先頭打者の釜元がライト前ヒットで出塁すると、続く高谷が見事送りバントを決め1死2塁。それまで静まり返っていたライトスタンドのホークスファンが、再び声援を送り始めた。打順はトップに返ってこの日ソロホームランを放っている福田。しかし、あえなくレフトフライに倒れ2死2塁となる。

 この瞬間、レフトスタンドの虎ファンは、このままメッセンジャーの完投勝利を疑わなかったに違いない(筆者もそのうちの1人)。しかし、「野球はツーアウトから」という格言がまさに現実のものになる試合となった。ホークス2番今宮が、カウント2-0から3球目をレフトへ。レフト福留が決死のダイビングキャッチを試みるも、打球は無情にも手前でワンバウンド。タイガースファンにとっては「まさか」、ホークスファンにとっては「歓喜」の1点が入り、試合は延長戦に突入した。

両チーム譲らぬ延長戦

 延長戦に突入後、両チームとも小刻みな継投で10回、11回の相手チームの攻撃をかわす。試合はいよいよ延長12回の攻防に突入。延長12回表タイガースは、2死満塁のチャンスを迎えバッター大山を迎えるが、この回から代わったホークス武田翔太に簡単に追い込まれ、あえなく三振に倒れる。この日一番の大歓声を送っていたタイガースファンからは大きなため息が漏れ、大山の三振と同時に席を立ち、帰路に着く姿が大勢見られた。

 延長12回裏ホークスの攻撃は先頭打者グラシアルが内野安打で出塁。代走の川瀬がタイガース守護神ドリスの牽制悪送球と暴投で3塁まで進塁し、無死3塁とサヨナラのチャンスを迎える。ホークスファンはサヨナラのチャンスに再び大声援を送るが、チャンスの場面で真砂は三振に倒れ、続く松田はショートゴロ。明石はライトフライに打ち取られ、敢えなくゲームセット。交流戦第1ラウンドは規定により引き分けとなった。

試合後の各選手のコメント

先発・ミランダ投手(6回2失点)
 立ち上がりはボールを操ることができず、リズムも悪くなりとても苦しかった。中盤以降は自分の投球ができたと思う。高谷さんのリードのおかげで何とか試合をつくれた。

福田秀平選手(4回に第3号ソロホームランを放つ)
 打ったのはストレートです。うまく反応できました。3イニング相手に完璧に抑えられていたし、先制されたすぐだったので、打てて良かったです。

今宮健太選手(9回同点タイムリーヒットを放つ)
 打ったのはストレートです。チャンスで打てて良かったです。詰まりましたが良い所に落ちてくれた。

激闘を終えて

 交流戦第一試合は4時間42分の激闘。両チームとも死力を尽くして戦い抜いた。最後まで観戦した双方のファンからは、チーム愛が感じとれた。

 レフトスタンドで観戦していた坂本和子さん(写真右)は、南海、ダイエー時代からのファンで、知人と2人で観戦。「野球観戦は外野席が一番いい。来週もまた見に来ます」と笑顔で語ってくれた。坂本さんは防災士の資格をもち、市内の小学校や公民館などで災害時の行動などについての講習を行っている。ほかにも、福岡市緑のコーディネーターとしての活動も行っているとのことだ。

 安田裕道さん(写真左から3番目)は、今日の試合を観戦するために大阪府豊中市から訪れたという。「普段は甲子園で観戦しているが、ヤフオクドームのレフトスタンドも甲子園に負けないくらい熱気がすごかった。今日のメッセンジャーはよく投げたし、(12回裏無死3塁で)サヨナラ負けかと思ったけど、ドリスが良く抑えてくれた。とても見ごたえのある試合だった」と語った。

 ともに観戦していたのは福岡県内に住む知人友人。試合が終わった後は皆で仲良く試合を振り返りながら歩いている姿が印象的だった。

 12日の試合は午後6時からヤフオクドームで行われる。ホークスの予告先発は和田、タイガースは青柳。

【長谷川 大輔】

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