2024年04月19日( 金 )

「おもてなし規格認証制度」と独自プログラムの連携 地元サービス産業の生産性向上を図る(後)

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 日本のGDPの約70%を占めるサービス産業。そんなサービス産業全体の活性化を図るため、2016年8月に経済産業省が「おもてなし規格認証制度」を創設した。西岡経営管理事務所は、“行動を変えれば結果が変わる”をキャッチコピーとした「行動評価マネジメントプログラム」を軸に、中小企業経営者らに経営指導を行っている。「おもてなし規格認証制度」における認証支援事業者である同所代表の西岡氏に、同認証制度について話を聞いた。

サービス品質の「見える化」を図る

 ――認証取得までに、どのような支援をされましたか。また、取得後にはどんなフォローがあるのでしょうか。

 西岡 前出の羅漢・徳久武洋社長が近年注力されている「民間救急らかん」は、究極のおもてなしであるといえます。そうしたおもてなしを一定レベルで提供し続けるには、やはり内部管理体制の充実が不可欠です。弊所は、お客さま本位のサービスを提供したいと考えられている企業(お店)が、それを実現できる仕組みづくりをお手伝いする1つのツールとして、同認証制度を活用した支援を実施しています。

 具体的には、審査項目をクリアするために弊所の『行動評価マネジメントプログラム』によって生産性向上に関わる指標(KPI)を抽出し、その達成度を定期的にモニタリングして、より高次の認証レベルに近づけます。

 ――「おもてなし規格認証」を取得したことによって、何が得られますか。

 西岡 制度的には、対外的な「サービス品質の見える化」と社内の生産性向上ということになると思います。しかし、認証取得のための審査のプロセスを経て、自社のマネジメントが改善し、冒頭に申し上げた“お客さまの琴線に触れるおもてなし”の実現に近づけるというのが最大のメリットということができます。

 また、国は、本制度の普及促進のため、補助金や融資における優遇措置を検討しており、すでに一部は制度化されたものもあります。

・サービス品質向上に向けた設備投資に必要な融資における金利減免(日本政策金融公庫観光産業等生産性向上資金)
・サービス品質向上に向けたITソリューション導入と補助金への活用(IT導入補助金の加点事由)

観光業に特化した認証でインバウンド強化を図る

 ――今年4月に、新たに「トラベラー・フレンドリー紺認証/金認証」が始まりました。

 西岡 訪日外国人が訪れる場所も、都市圏から地域へと広がりを見せる傾向にあるなか、経営者の意思をもって積極的にインバウンド対応に取り組む事業所を「見える化」するために新設されたものです。国は、訪日外国人旅行者数の目標を2020年4,000万人、2030年6,000万人に設定しています。ただし一方で近年、観光地のキャパシティ以上の観光客が押し寄せる、いわゆる“オーバーツーリズム”が問題化しているのも事実です。

 そうしたなかで、観光客の分散を図り無理なく目標を達成するためには、観光資源だけに頼らないソフト面での取り組みが重要になります。「トラベラー・フレンドリー認証」は、接客サービスのレベルを見える化し、観光客にソフト面での満足を提供できる企業(お店)を増やすことを目的としています。

・訪日外国人旅行者数:2018年3,119万人

 ――最後に、同認証の普及に向けた今度の取り組みを聞かせてください。

 西岡 同認証制度は、経済産業省が創設し、認定機関である(一社)サービスデザイン推進協議会が認定した認証機関(全国6機関)が審査にあたりますが、弊所は認証機関と連携した認証支援事業者として、審査および改善指導を行うことができます。

 ただし、まだまだ制度としては認知度が低いため、今後は、まず同制度の普及に向けてセミナーの開催を始めとする啓発活動に重きを置き、1件でも多くの承認件数増加を目指します。そうした地道な取り組みが、日本のサービス産業全体の生産性向上につながってくれれば、弊所が認証支援事業者として活動することに意味があると考えています。

(了)
【松本 悠子】


「おもてなし規格認証 取得企業へのインタビュー」
2018.12紺認証取得

(有)羅漢 取締役社長  徳久  武洋  氏

 弊社は、2018年12月に経済産業省創設『おもてなし規格認証★★(紺認証)』を取得しました。紺認証は、認証機関による審査の結果、独自の創意工夫が凝らされたサービス提供者と認められた事業者のみが取得できる規格ですので、弊社としては、とくに今回新たな取り組みとして、福岡県の経営革新の承認を受けた「民間救急とバリアフリー宿泊施設の連携による要介護者搬送サービス」を展開していくうえで、プラスになると考えています。

 西岡診断士とは、10年ほど前に地元の商工会を通じて経営革新計画作成のご相談をさせていただいて以来のお付き合いで、弊社の事業についても十分にご理解いただいていたことから、今回の紺認証についても非常にスムーズに取得までたどり着けたと感じています。

 『おもてなし規格認証制度』は、まだ決して認知度が高い制度とはいえませんが、経済産業省が日本のサービス業の生産性向上を目的に創設した制度であり、自社の経営を見直し、サービスレベルやマネジメントレベルの向上を図るには最適の制度だと思いますので、ぜひともより多くの企業にチャレンジしていただきたいと思っています。

(企業情報)
(有)羅漢(らかん)
所在地:福岡県糸島市二丈松末1184-1
TEL:092-331-6666
E-mail:info@rakan-fuk.co.jp
HP:http://www.rakan-fuk.co.jp
「生前のサポートからご葬儀・そしてその後まで、トータルでお客さまの安心のためにさまざまなご提案をさせていただいております。近年では、糸島市・患者等搬送事業者認定第1号として「民間救急らかん」も展開し、介護が必要なお客さまの搬送や転院・退院などを通じて、地域の皆さまに安心をお届けしております。」


<COMPANY INFORMATION>
西岡経営管理事務所

代表:中小企業診断士 西岡 隆
所在地:福岡市中央区天神1-15-5 天神明治通りビル711
設立:2001年4月
TEL:092-761-8808
HP:http://www.nishioka-keiei.com
事業内容:ビジネスコンサルティング/M&Aアドバイザリー/行動評価マネジメントプログラム/創業支援/経営革新計画申請サポート/補助金申請サポート/知的資産経営支援

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