2024年04月19日( 金 )

建設資格を取ろう~5年後、10年後を見据えた人材育成を

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(株)建設技術者養成センター
坂口 智美 代表

 最近、建設業の方から、「資格保有技術者を紹介してほしい」との依頼をよくいただきます。ですが、今はどの会社も技術者不足のため、移動することはほとんどありません。技術者を確保するための一番確実で早い方法は、自社での環境整備と人材育成です。会社の将来を見据え、人手不足の問題を解消するための取り組みや、人材確保に必要な対応はされていますか?

 人手不足といわれる原因は、いわゆる「3K」に加えて、賃金水準がほかの業界に比べて低く、就職しても働き盛りの30~40代が十分に稼げていないために将来像が見えてこないことが挙げられます。ほかに「労働時間が長い」「肉体的・精神的に健康を損ねる」「社会保険の未加入」などの理由もあり、若者の入職者が減る一方で、離職者が絶えないのです。さらに、ベテランの高齢化が一層進んでいる現状もあります。中小企業では人手不足のために若手に教える余裕はないとも言われますが、きちんと技術を継承し、企業を存続させるためにも、人材育成は必須なのです。

 まず、労働環境を良くするためには、従業員同士がどのようにしたら環境が良くなるかを話し合う時間を設けて、環境改善に努めることです。こうして環境が良くなれば、作業効率のアップや労働時間の短縮につながります。

 また、若者の入職を促進するためには、建設業の魅力を示す必要があります。3年後、5年後のキャリアアップ(技術力・資格取得)に併せた年収額のシミュレーションを明確に提示することで、将来的な安定性を示せれば、自然と仕事へのやりがいも生まれるでしょう。ただし、そのキャリアアップのためには、資格(1・2級施工管理技士、1・2級技能士など)の取得が必須となります。

 資格を取得することは、第三者に実力を認めてもらうということでもあり、それが従業員の自信にもつながります。また会社にとっては、施工管理技士であれば経営審査の技術者点数、総合点数によるランクが付き、公共工事への技術者配置も可能になります。もし無資格の従業員が多いと、彼らは現場に配置できず、入札への参加資格を失うことにもつながりかねません。

 現在の人材育成では、従業員同士が教え合うことが重要です。昔のように「俺の仕事ぶりを見て覚えろ」という時代ではありません。しっかりと仕事の基礎を教えて自信をつけさせることが、新入社員の定着にもつながります。資格は取得者自身のものですが、その取得を会社側がいかにサポートできるかが重要です。

■2018年度 管工事施工管理技士技術検定試験
1級願書受付:5月7日~21日
1級学科試験日:9月2日
2級学科・実地試験日: 7月17日~31日

<プロフィール>
坂口 智美(さかぐち・ともみ)
1972年生まれ、福岡県出身。学卒後、建設業界へ。建設従事者からの「国家資格は、独学ではなかなか合格できない」という声がきっかけとなり、2001年に工事監理技術者養成センターを大阪で設立。主に出張講習を全国展開し、14年には拠点を福岡(本社)と沖縄(営業所)に移し、社名を(株)建設技術者養成センターに変更。同センターは、生講義で行うことにこだわり、受講生の合格率は90%を超える。(株)建設技術者養成センター代表取締役。

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