2024年04月20日( 土 )

広域観光で交流人口を増やす「大太宰府構想」の施策

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福岡県議会議員 原竹 岩海 氏

JR二日市駅

 2019年4月7日に投開票が行われた福岡県会議員選挙・筑紫野市選挙区において、5期目の当選をはたした原竹岩海氏。同氏は筑紫野市議会議員を3期務めた後、03年には福岡県議会議員に初当選した。その原竹氏に、筑紫野市および太宰府市など近隣エリアの広域観光まちづくりについての構想を聞いた。

モノレールで空港と二日市をつなぐ

 楠田大蔵市長は、福岡市を訪れる観光客をいかに太宰府市へ引き込むかについて、意欲をもっておられます。福岡市営地下鉄の終点が福岡空港までなのは、実にもったいない。太宰府市まで地下鉄を延伸すれば、太宰府市を訪問する観光客は増加するでしょう。少なくとも、正月三が日の交通渋滞は緩和されると思います。

 問題は、地下鉄延伸の工事費です。私は、国道、県道、県河川、市道、市河川の真上は用地買収代がゼロですから、この真上にモノレールをつくればよいと思います。モノレールの工事費は、地下鉄延伸工事の10分の1程度でできると聞いています。さらに、モノレールを地下鉄・福岡空港駅から二日市までつなげれば、西鉄二日市駅、JR二日市駅はそれぞれ急行も特急も止まるので、利用者はここで降りてモノレールに乗り換え、福岡空港に行くことができるようになります。そうすると、これまで以上に二日市およびモノレール沿線は、多様性のあるまちになるでしょう。

 二日市には二日市温泉もあります。二日市温泉にとっても、太宰府との動線が強くなれば、宿泊者の増加や多様化が見込めるはずですし、太宰府と筑紫野の垣根はさらに低くなり、両市の関係はより密になっていくでしょう。私は、将来的に太宰府市と筑紫野市は、合併すべきだと考えています。

 合併することのメリットの1つは、重複する公共施設をまとめることができる。行政をコンパクトにすることで、福祉への人員配置を強化し、さらなる高齢化への対策を図ることができます。

 それから、合併後の市の名称は、市議会や行政・政治家が決めるのではなく、住民投票で決めるのです。たとえば、市から提案された4案のなかから住民投票で上位2案を残して、どちらが良いかを住民全員が参加して決選投票を行う。住民全員がこれに参加することで、これが最初の「まちづくり」になります。

 現在、少なくとも消防行政に関しては、筑紫野と太宰府は一本化できています。火葬場もできている。水道企業団も広域ですけれど、両市とも入っています。残ったのは、市長と市の職員の合併、最終的に議会を合併させる。問題はそこだけなのです。

 今後のまちづくりを考えれば、太宰府市だけでは財政的に無理があると思います。理由は税収の問題です。太宰府市には宗教法人、学校法人、医療法人、福祉法人などが数多く集まっています。これらの敷地の固定資産税は非課税です。事業会社が進出する場合でも、課題はあります。地面を掘ると茶碗などが出てくる。そうすると、発掘調査などで何年間も工事が止まってしまう。税収が期待できる企業進出も限られるのです。

 このような状況から、太宰府市は近隣自治体との協調が必要だと考えます。その場合は、合併というかたちでの運営がやりやすい。財政的な面も有利なことが出てきますから、資金的にも余裕ができるはずです。旧筑紫郡のなかで先に合併をした経験を得ることで、次は大野城市や春日市、那珂川市に“合同結婚式”を申し込んで、将来的には「福岡県で3番目の準政令都市でいきましょう」と夢を語ることができます。

 この「大太宰府構想」のなかで、中核をなすのがモノレールです。この構想には、糟屋郡の町会議員のなかにも賛同者が出てきており、「糟屋地区の未来を考える会」という政治団体を立ち上げています。彼らとは合同勉強会を計画しています。楠田大蔵市長が率いる太宰府市と私の地元の筑紫野市が協調すれば、合併は決して夢ではないのです。

【内山 義之】

<プロフィール>
原竹 岩海(はらたけ・いわみ)

 1953年7月24日生まれ、東福岡高等学校を経て、久留米大学商学部卒業。福岡県議会議員秘書。91年、筑紫野市議会議員選挙で初当選。市議を3期務める。2003年、福岡県議会議員選挙で初当選。現在は5期目。

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