2024年04月21日( 日 )

福岡県の8信用金庫~その経営統合の行方を検証する(1)

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 九州には27の信用金庫と18行の地銀があり、計45の地域金融機関がある。日銀が進めるマイナス金利政策の影響を受けて、地域金融機関は厳しい経営状況が続いている。人口の減少と地域経済の衰退が続くなか、現状のままでも生きていけるのか。それとも経営統合を急ぐべきなのかについて、検証していくことにしたい。

 【表1】、【表2】を見ていただきたい。日本の人口と九州の人口順位表である。

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~この表から見えるもの~

 日本の人口は2018年10月1日現在、1億2,644万3千人と推定され、で前年比▲263千人。九州の人口は12,863千人(前年比▲55,234人)で、総人口の10.2%を占めている。

 全国47都道府県で、福岡県の人口は9位。熊本県23位。児島県24位。長崎県29位、大分県33位、宮崎県36位、佐賀県は41位となっている。

 九州1位の福岡県は5,111千人(前年比+1,156人)。九州全体の人口に占めるシェアは39.7%で約4割を占めている。増減率は+0.02%で、福岡県だけが増加しており、今後シェアはさらに上昇するとみられる。

・2位は熊本県の1,756千人(前年比▲9,076人)で、増減率は▲0.51%。シェアは13.7%。

・3位は鹿児島県の1,613千人(前年比▲11,465人)で、増減率は▲0,71%。シェアは12.5%。

・4位は長崎県の1,339千人(前年比▲14,112人)で増減率は▲1.04%。1%以を超える減少率は長崎県だけとなっている。離島の多い長崎県の過疎化は急速に進んでいるようだ。シェアは10.4%。

・5位は大分県の1,142千人(前年比▲8,910人)で、増減率は▲0.77%と長崎県につぐ2位の減少率となっている。シェアは8.9%。

・6位は宮崎県の1,079千人(前年比▲8,317人)で、増減率は▲0.76%と大分県につぐ3位の減少率となっている。シェアは8.4%。

・7位は佐賀県の819千人(前年比▲4,510人)で、増減率は▲0.55%。ただ1県だけ100万人を割っており、シェアは6.4%。佐賀県の人口は全国41位で、42位は山梨県の817千人(前年比▲6千人)となっており、順位の変動があるかもしれない。

【表3】を見ていただきたい。全国の地域金融機関(信金・地銀)の分布図である。

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~この表から見えるもの~

 全国の信金は259金庫。総人口に対する平均パーヘッドは488千人で、それを上回っているのは関東(788千人)と近畿(709千人)および沖縄県の1,448千人を含めた3地区となっている。

・パーヘッドが平均を大きく下回っているのは北陸(3金庫)で185千人。次が北海道(20金庫)で264千人となっている。

・九州(27金庫)は476千人で、パーヘッドをわずかに下回っている。

 地銀は103行(第一地銀64行・第二地銀39行)でパーヘッドは1,228千人。それを上回っているのは北海道(2,643人)、関東(2,710人)、近畿(2,286人)、東海(1,249人)、の4地区だけとなっている。

・九州地銀(18行)は715千人で、パーヘッドの1,228千人を大きく下回っているのがわかる。

<まとめ>

 日本の人口(18年10月1日)は、前年比▲263千人減少している。九州の人口も前年比▲55千人減少しており、減少率は20.9%となっている。九州の全国シェア10.2%に対して、減少率はその倍を超えており、人口減少のスピードが早いことが読み取れる。九州の信金および地銀に「経営統合を早急に進めるべき」とのサインなのではないだろうか。

(つづく)
【(株)データ・マックス顧問 浜崎 裕治】

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