経営者保険見直しで注目される「終身保険」
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2019年2月、大手保険会社は一部の損金性の高い商品を一時販売停止。節税目的による加入が増えていた経営者保険を、4月から相次いで見直しています。中途解約を前提にしているケースが多く、「死亡保障」という本来の趣旨から外れていたことが問題視されていたためです。以降、各社が工夫して、さまざまな商品を販売しようと動いているところです。
そのような状況下で、注目されている保険商品が「終身保険」です。終身保険の特徴は保険期間の満期がなく、一生涯の保障と資産形成という目的にあった保険商品です。また、払い込んだ保険料が解約返戻金として蓄積されます。そうしたことで、法人向けに終身保険の特徴を活用した提案が、以前よりも活発に行われているようです。法人への生命保険の提案は、一般的に「実質返戻率」を用いてされています。
実質返戻率=解約返戻金÷(保険料-保険に加入した際の節税額)
19年2月以降の法人税基本通達改正案は、最高の実質返戻率が100%を超えることはないと思われます。そこで、生命保険の損金性を考えない「終身保険」の単純解約返戻率を基にして、提案が行われています。経営者の退任時に退職金の原資として解約返戻金を支給する、もしくは、法人契約を個人契約(経営者)へ変更して原物支給する提案です。その際には、予定利率の高い外貨建てを使った提案が効果的なようです。7月以降に、生命保険各社が新商品の販売や販売停止中の商品の販売再開を行う予定ですので、既在の契約も含めて、保険の担当者に確認する必要があると思います。
続いて「終身保険」の個人契約についてですが、従来は、死後の整理資金、遺族の生活資金、相続対策(納税資金)、老後の生活資金という目的で加入されていました。現在は市場の金利が低く、保険会社の定める予定利率も低いため、円建ての商品よりも外貨建て、主に米ドル建ての商品が人気のようです。資産の運用という点からも注目されています。
先日、公務員を退職されたお客さまから、退職金の一部の運用の相談を受けました。その方の家族構成は、本人、妻、長男、次男の4人家族でしたので、生命保険の非課税枠(500万×3名)の範囲内で外貨建て、円建ての一時払い終身保険を生命保険3社に分けて、ご契約を預かりました。3社の特性を生かしてリスクの分散を考慮した点で、大変満足をいただけました。ここで、注意していただきたいのは、加入する代理店は一本化したほうが良いということです。
複数の保険会社に分けて加入すると、その分手間はかかりますが、給付を受けることを考えると、何十年にもわたって普段考えない生命保険を管理するのは不可能だからです。多少の手間は受け入れて、なるべく窓口を一本化するほうが得策だと思います。
<プロフィール>
玉井 省吾(たまい・しょうご)
(株)アンツインシュアランス 代表取締役社長
1965年生まれ。長崎出身。88年、福岡シティ銀行入行。県内外の支店に勤務し、中小企業の法人営業を担当。事業者に対し、事業融資、経営アドバイスを行う。99年、外資系保険会社に入社し、ライフプランナーとして勤務。その後、保険を活用した経営コンサル業を開始。2018年1月より現職。関連記事
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