2024年04月19日( 金 )

横浜銀行と千葉銀行が業務提携~加速するか地銀の経営統合

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 地銀首位の横浜銀行と3位の千葉銀行が10日、包括提携することで合意したと発表した。同日、横浜銀行の大矢頭取と千葉銀行の佐久間頭取が記者会見に応じた。要旨は下記の通り。

 「マイナス金利政策が長引き、地銀の収益力は低下しており、横浜銀と千葉銀は個人から法人取引まで幅広い分野で提携して業務を効率化する。個人向けでは、信託銀行の機能をもつ千葉銀行が横浜銀行に遺言信託などのサービスを提供するなど、両行の人材交流も進める。具体策については今後両行の幹部が参加する委員会で協議する」としている。

【表1】を見ていただきたい今回提携を発表した横浜銀行と千葉銀行を含む、地銀上位10行の総資産残高順位表である。

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~この表から見えるもの~

 この提携によって横浜銀行と千葉銀行がすぐに合併に踏み切ることはないと思われるが、両行合わせた総資産が32兆円近い銀行同士の提携であり、しかも営業エリアの重複が少ない両行の提携は周囲の銀行にとっては大きな脅威となっている。

 九州では福岡銀行が2位。西日本シティ銀行が7位で2行が入っている。

 フィナンシャルグループ(FH・FH)ではふくおかFG(福岡・熊本・親和・十八銀行の4行)が、コンコルディアFG(横浜・東日本銀行の2行)を抜いて1位となっている。西日本FHは4位。

 なお、上位地銀の分布図および日本の人口推移については【表4】、【表5】を参照していただきたい。

【表2】を見ていただきたい。地銀上位10行の当期純利益順位表である。

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~この表から見えるもの~

 19年3月期の当期純利益1位は、福岡銀行で前期比+99億円の503億円(前期比24.4%増)。

・2位は横浜銀行で前期比▲84億円の500億円(前期比▲14.4%)。以下、3位は千葉、静岡、京都、常陽、広島銀行と続き、西日本シティ銀行は9位となっている。

・日銀のマイナス金利政策の影響を受けて、前期比マイナスの銀行が多いのがわかる。

【表3】を見ていただきたい。地銀上位10行の貸出金残高順位表である。

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~この表から見えるもの~

 貸出金残高1位は横浜銀行で、前期比+3,790億円の11兆1,331億円(前期比3.5%増)となっている。

・2位は千葉銀行で、前期比+3,208億円の10兆1,368億円(前期比3.3%増)。ここまでが10兆円を超えている。

・3位は福岡銀行で、前期比+3,858億円の9兆8,978億円(前期比4.1%増)で、2020年3月期は10兆円を達成することになりそうだ。

・4位の静岡銀行に続き、西日本シティ銀行は5位。前期比+2,960億円の7兆1,322億円(前期比4.3%増)と善戦しているのがわかる。

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<まとめ>

 横浜銀行と千葉銀行の業務提携は周囲の地銀銀行に大きな衝撃を与えている。日銀のマイナス金利政策の影響を受けて厳しい経営を強いられているため、これを機に経営統合に踏み切る銀行が出てくるものと予想される。

【(株)データ・マックス顧問 浜崎 裕治】

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