2024年03月29日( 金 )

石炭からセメント、さらに医療へ 教育にも注力する飯塚の古豪(後)

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M&Aで東京企業を傘下に

 近年は上場企業の買収を積極的に進めている。情報・ソフト事業に属する(株)ぎょうせいは、1893年9月に創業した出版社。同社は裁判の判例集や地方自治関連の法律の逐条解説集の発刊などを主力に官公庁および地方自治体向けに出版物を刊行、販売するなど景気に左右されないビジネスモデルを有している。

 しかし、2002年にオーナー家輩出の藤津玄雄社長が12億円の脱税を行っていたことが発覚し、これが05年のMBOによるオーナー家からの独立につながった。リーマン・ショック後にぎょうせいグループの再編が活発化し、12年に麻生の傘下となっている。

 M&Aだけではなく、事業の提携にも積極的に動く。17年1月には富士通系の情報システム会社である都築電気(株)との資本業務提携を発表。同社は東証一部に上場している。医療、介護事業者向けシステムを成長事業と位置付けている都築電気にとって医療・介護関連のノウハウをもつ麻生は最適なパートナーとなった。

 18年10月には上場企業である日特建設(株)を傘下に収めたことで、前期からセグメントに「建築土木」が登場、売上高も366億2,800万円とセグメント別でみれば第3位の規模となっている。

 以上に不動産事業などのそのほかの事業を含めた同社の連結売上高は1,980億7,400万円、前年度比27%増という拡大する企業グループだ。

専門学校に特化した麻生塾

 グループの中核企業である麻生の株式を最も多く保有するのは(学)麻生塾だ。58万6,000株を保有し、発行済み株式のうち18.89%を保有。同法人の売上高は69億1,600万円、当期純利益は3億6,500万円。福岡エリアと北九州エリア合わせて13カ所で専門学校を運営する同法人だが、その生徒数はほとんどが定員割れ。しかし、就職に強みがあることはたしかで、たとえば麻生看護大学校を卒業する60名のほとんどが麻生に入社する。法人全体でも就職率は97%を超えるなど、企業との連携をもつことで大きなアドバンテージをもつ。

 少子化を背景に、学生集めに苦戦する学校法人は多く、「全入時代」ともよばれる。そのなかでもよく行われるアピールが「就職に強い」こと。確かな就職実績をもつ麻生塾は、これまでも社会の変化に合わせて学校の創設、廃校を進めるなど判断力も有している。

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(了)
【小栁 耕】

<COMPANY INFORMATION>
(株)麻生

代 表:麻生 巖ほか2名
所在地:福岡県飯塚市芳雄町7-18
設 立:1944年11月
資本金:35億8,000万円
売上高:(19/3連結)1,980億7,400万円

(前)

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