2024年03月30日( 土 )

れいわ新選組が新宿を占拠、マスコミの黙殺はねのけ

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 参議院選挙最終日の20日夕、東京・JR新宿駅西口は「れいわ新選組」支持者で埋め尽くされた。前川喜平・前文科事務次官も応援に駆け付け、同党が安倍政権に引導を渡すことに多くの国民が期待を寄せた。山本太郎代表は「徹底的に戦う集団を国会に」と支持を訴えた。

 この日の演説会は「新宿センキョ」と名付けられ、午後3時50分から始まった。音楽演奏や歌唱などを交え、大阪・通天閣下での路上ライブに出演中のやすとみ歩(あゆみ)氏を除く9人の候補が演説した。

 午後6時前、東京・多摩センター駅前から移動した山本氏が姿を見せると、あたりは一斉に拍手と歓声に沸いた。小田急百貨店前は立錐の余地もない。駅ビルの中にも人垣が続き、100メートルほど離れた小田急ハルク前の歩道橋にも聴衆がびっしり並ぶ。テレビや新聞にほとんど無視されている状況をはねのけてトラックのステージに立った山本氏は、「今日、こんなに集まって、何があるんですか。小泉進次郎さんでも来るのかな」といつもの道化を演じる。「太郎は太郎でも河野太郎さんではございません。水道民営化して日本の水道を海外に売ろうとした太郎でもございません。永田町の野良犬、山本太郎と申します」とあいさつした。

 わが国では子供たちの7人に1人、高齢者の5人に1人、一人暮らし女性の3人に1人が貧困状態にあることを挙げ、「国は人々に対する投資をする気もないどころか、増税まですると言っている。緩やかに殺しに来てますよ。このまま食い物にされていたら終わってしまう。それを変えるために、今回の選挙がある」と喚起した。

 続いて、山本氏から東京選挙区を引き継いだ野原ヨシマサ氏が登壇。沖縄創価学会青年部の立場から玉城デニー知事誕生に貢献した候補者は、「現在の安倍政権は辺野古新基地建設の目的を中国の脅威とか、国防とか、いろいろ理由を付けているが、あれは金なんです。一部のゼネコンをもうけさせるためでしかない」と一蹴した。

 平和と福祉を掲げる公明党が戦争法や共謀罪法に賛成し、生活保護の切り下げや年金給付を減らすマクロ経済スライドにも賛成したことを挙げ、支持母体の創価学会の変質を糾弾。「はっきり申し上げます。公明党をつぶせば日本の社会は良くなる」と断言した。

 その上で、「公明党がこれまでやってきたこと、山口那津男がこれまでやってきたことと、今回私がこの選挙戦でずっと主張してきたことのどちらが筋が通っているか、どちらが正しいのか。東京都民の皆さまに判断してもらおうと思う」と呼び掛けた。

 サプライズで前川氏が登壇すると、聴衆が沸く。マイクを渡された前川氏は、「私は立候補していない」と口を開き、笑いを取った。「安倍政権は倒さなければいけない。国民にうそをつき続けている。国民をだまし続けている」と安倍内閣の退陣を主張した。

 昨年5月に愛媛県から出てきた文書に2015年2月25日の加計孝太郎氏と安倍晋三首相の面談が記されていたことに触れ、「そこで加計孝太郎さんが新しい獣医学部の話をした。それに対して、安倍さんは『その考えはいいね』とコメントしたと書いてある」と述べ、国民にうそをつき続ける人間が6年半首相の座に居続ける異常さを強調した。

 再び登壇した山本氏は、東京の行方について「ふたが開くまで分からない。こんなこと誰もやったことないから」と構える一方、「市民の力で国政政党をつくる。皆さんの声を直接伝えて、それを形にするどころか、永田町の論理に一切関わらない、あなたのためになるかならないかのみの判断で徹底的に争う集団を国会の中につくってくださるんですよね」と促した。

 同党への寄付金が3億9000万人を超えたことを報告。「あなたの力ですよ。外食を我慢したり、1週間分のおかずを1品減らしたりして、何とか絞り出した1,000円、500円。それぞれが我慢して、何とか今の閉塞感に風穴を明けてくれとのみんなの力で、私たちは今回の選挙に出ることができた」と謝辞を述べた。

 山本氏は消費税廃止や奨学金徳政令、公的住宅の確保などの政策を提案し、人間が生産性で測られる社会の現状を批判。「あなたは存在しているだけで価値がある。生きてて良かったと思える社会にしようよ。それができるのが政治」と向けた。

 「この国の労働環境はぶっ壊されて、非正規も今や4割。この最悪な状況にしたのは小泉・竹中」と始めると、前日から始めたコールを連想。「これだけ大人数の中だから、やってみたいな」と聴衆に促した。

 「小泉・竹中ろくでもない」「小泉・竹中ろくでもない」

 新自由主義に汚染された2人の売国奴を責め立てる大きな声が、夜の新宿に響いた。

 演説を再開しようとするとマイクが切れ、そのまま選挙運動が終わる8時を迎えた。「野原」コールが自然に湧き上がる。大きなうねりとなった後、「れいわ、れいわ」そして「太郎、太郎」の唱和に変わった。不正だらけの世の中に一筋の希望を見いだした国民に、新宿はすっかり占拠されていた。

<プロフィール>
高橋 清隆(たかはし・きよたか)  

 1964年新潟県生まれ。金沢大学大学院経済学研究科修士課程修了。『週刊金曜日』『ZAITEN』『月刊THEMIS(テーミス)』などに記事を掲載。著書に『偽装報道を見抜け!』(ナビ出版)、『亀井静香が吠える』(K&Kプレス)、『亀井静香—最後の戦いだ。』(同)、『新聞に載らなかったトンデモ投稿』(パブラボ)。ブログ『高橋清隆の文書館』。

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