北九州市の産廃業者に法令違反 市の管理体制にも疑問
北九州市の産業廃棄物処理業者2社が、廃棄物処理法により提出が義務付けられている「廃棄物管理票交付等状況報告書」を提出していなかったことが、同市への公文書開示請求により判明した。
今回、法令違反が判明したのは、「(株)ふたじま不動」と「(株)無限環境ビジネス」の2社。
廃棄物処理法では、毎年6月30日までに、その年3月31日以前の一年間において交付した管理票(マニュファスト)の交付状況を報告しなければならない。データ・マックスが市へ両社の同報告書を開示するよう求めたところ、市は「(同報告書は)提出されておらず、不存在」と回答した。
市によると、ふたじま不動においては、平成30年度分、無限環境ビジネスにおいては、平成29年度および平成30年度の2年分が未提出となっていた。平成30年度分に関しては、提出期限は今年6月末で、提出が遅れているという言い訳は通るかもしれないが、平成29年度分に関しては、1年以上未提出のままであり、「遅れ」という理由は通用せず、「怠っている」と言わざるを得ない。
同報告書の未提出について罰則規定はないが、廃棄物処理法の条文では(行政は)「産業廃棄物の適正な処理に関し必要な措置を講ずべき旨の勧告をすることができる」とされている。市は両社に対し、同報告書の提出を促しているという。
市はデータ・マックスの開示請求によって初めて事態を把握したというが、1年以上も気づかないということは、そもそも管理さえ十分に行われていないと言ってもいいだろう。今回の指摘を受けて、市は一斉点検に乗り出している。この2社以外にも複数の産廃処理業者において、同報告書の未提出が発覚しているという。
「行政のチェック体制が甘い。何のために報告させるのか。適切な運用は不法投棄からのリスク回避など事業者の身を守ることにもつながる」と業界関係者は語る。
【東城 洋平】