2024年04月20日( 土 )

「SBIが地銀支援に本腰」報道~今、地銀に求められることとは

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 本日(8月23日)付の西日本新聞に掲載されたSBIホールディングスの北尾吉孝社長(68)の地銀支援の記事が目に止まった。

 北尾社長は共同通信のインタビューに応じ、地方銀行の経営を支援ビジネスの具体策を明らかにしている。

 その内容は以下の通り。

 新設する共同持株会社を通じ、システム開発やマネーロンダリング(資金洗浄)対策を一元的に行うことで業務を効率化するのが柱となっている。

・「第4のメガバンク構想」と銘打ち、各地の地銀の連携を促すとしている。北尾氏は「地銀が全国展開したり、海外に投融資したりできるようにし、地域の活性化につなげたい」と強調した。

・人口減少や長引く低金利で銀行の収益環境が悪化し、地銀同士の経営統合や業務提携が相次いでいる。今回の支援策が地銀再々編の一角を担うかどうかが注目されそうだ。

 共同持株会社への出資はSBIホールディングスに加え、地銀大手やメガバンク、有力なベンチャー企業などから募る方針。設立時期は未定とし、「経営が厳しい地銀に資本参加することも検討している」と語る。

 具体的には、「フィンテック」を活用し、各地銀が共有可能なシステムの構築を目指すとしている。インターネット取引に欠かせない顧客の身元確認やマネロン対策を一体運用できるようにすると」いう。さらに北尾氏は、「ネットを通じて情報を処理するクラウドをシステムに使うことで投資コストを抑えられる」と説明。

 SBIホールディングスは、傘下のSBI證券が地銀約30行と提携し、金融商品を提供するなど協力関係を深めている。北尾社長は地銀に対し、「子会社が手がける送金手数料が一部無料のキャシュレスなどの導入なども進め、若年の顧客開拓を後押しする」との考えを示した。

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 金融庁の遠藤俊英長官は日経新聞のインタビューに応じ、「厳しさを増す地方銀行の経営者に対し、他行の動きや当局の意見を気にする様子見をやめ、主体的に改革を進めるよう強く求めており、収益力の回復が見込めない地銀には業務改善命令で改革を促すことを視野に入れている」と語っている。

 全国の上場地銀の純利益は2019年3月期まで3期続けて減益となっており、経営環境は厳しい状況にある。地域経済を支える地銀の経営改善は、金融システムを安定させるうえで金融庁にとって避けて通れない課題となっている。今、地銀に求められているのは、外部のSBIホールディングスに助けを求めることではなく、「自助努力による収益改善の方策」を実行することではないだろうか。

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【(株)データ・マックス顧問 浜崎裕治】

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