2024年03月29日( 金 )

約80haの巨大プロジェクトも進行中 福岡の「セントラルパーク」エリア(後)

記事を保存する

保存した記事はマイページからいつでも閲覧いただけます。

印刷
お問い合わせ

投資用マンションも増加

主な開発物件(大濠公園・舞鶴公園周辺)
※クリックで拡大

 両公園の周囲では現在、多くの分譲マンション開発が進行中。主な開発物件は地図・別表の通りで、地場から中央大手まで各デベロッパーがこぞって開発に乗り出している。地図上で物件の分布を見ると、とくに両公園から見て北側にあたるエリアを中心に開発が進んでいるようだ。

 (株)LIFULLが企画・運営を行う住宅・不動産ポータルサイト「LIFULL HOME'S」が発表した「2019年 九州圏版 データで見た住みたい街ランキング」では、「買って住みたい」カテゴリーにおいて、「赤坂」(2位)、「大濠公園」(3位)、「唐人町」(4位)と、両公園の周辺に位置するエリアが上位に来ている。

※クリックで拡大

 一方の「借りて住みたい」カテゴリーでは、赤坂(13位)、大濠公園(14位)、唐人町(18位)といずれも10位以下となっており、同エリアにおいては賃貸よりも分譲での物件需要が高いことがうかがえる。

 こうした“買って住みたい”需要こそが、前述の分譲マンションの開発ラッシュにもつながっているといえよう。また、賃貸需要も決して低くはない。

 大濠公園駅近くのある総合不動産業者は、「賃貸物件だと、大手門や荒戸あたりは、昔から住んでいる地主が経営している賃貸マンションやアパートが多い。人気の間取りは1DKや1LDK」と話す。家賃相場は1DKや1LDKの30m2前後で、平均7~9万円前後。天神周辺と比較すると、賃料は抑え目だ。

 市内で60年以上の業歴をもつ老舗不動産業者は、「大濠公園駅周辺の賃貸物件は、ファミリー向けが充実している」と話す。大濠公園駅周辺のマンション開発が進んだのは今から約20年前だが、大濠公園から北側の一帯は都市計画法による用途地域の1つである「商業地域」であることから、商業ビル・オフィスビルに加えて、10階建て以上の高層マンションが立ち並ぶようになったという。

 それでは、公園を挟んで南側に位置する六本松周辺はどうだろうか。09年まで九州大学六本松キャンパスが存在し、かつては学生街として栄えた六本松だが、キャンパスが去った後は、約6.5haの跡地を中心とした再開発が始まった。駅前には、福岡市科学館、九州旗艦店の蔦屋書店、九州大学法科大学院などが入った複合施設「六本松421」が17年9月にオープン。隣接地には分譲マンションや有料老人ホームが誕生し、六本松421の南側には、裁判所、検察庁、弁護士会館が新設されるなど、新しい街として生まれ変わりつつある。

 六本松駅近くに店を構える不動産仲介業者は、「ここは学生街として栄えていたことから、単身者向けの賃貸物件は多く、大濠公園と比べると家賃は安価。単身者向けだと1Kで3~5万円台、1LDKで7~8万円台。ファミリー向けだと、2LDKで10万円から借りられる」と話す。また、近年は再開発にともない周辺地域に相次いで分譲マンションが建設されており、ファミリー層にも需要はあるという。

 大濠・舞鶴、六本松は天神や博多に近く交通利便性に優れている立地から、「買って住みたい」「借りて住みたい」いずれの需要も高いエリアだといえる。

大濠公園
大濠公園

● ● ●

 都心のオアシスとしての役割をもった広大な公園を中心に、交通利便性の良さも相まって住環境として高いポテンシャルを秘めている大濠・舞鶴公園の周辺エリア。今後、両公園の一体的な整備が進行するのにともない、エリアの魅力向上が周辺だけでなく天神から西新・百道・六本松などの広範囲に波及することで、ひいては福岡都心部全体の活性化にも寄与していくことを期待したい。

(了)
【特別取材班】

(中)

月刊誌 I・Bまちづくりに記事を書きませんか?

福岡のまちに関すること、再開発に関すること、建設・不動産業界に関することなどをテーマにオリジナル記事を執筆いただける方を募集しております。

記事の内容は、インタビュー、エリア紹介、業界の課題、統計情報の分析などです。詳しくは掲載実績をご参照ください。

企画から取材、写真撮影、執筆までできる方を募集しております。また、こちらから内容をオーダーすることもございます。報酬は1記事1万円程度から。現在、業界に身を置いている方や趣味で再開発に興味がある方なども大歓迎です。

ご応募いただける場合は、こちらまで。その際、あらかじめ執筆した記事を添付いただけるとスムーズです。不明点ございましたらお気軽にお問い合わせください。(返信にお時間いただく可能性がございます)

関連キーワード

関連記事