2024年04月20日( 土 )

法人向け定期保険販売再開~確認したい変更点

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玉井 省吾 氏

 2019年6月28日付で、国税庁より「法人税基本通達」などの一部改訂が発表され、法人で加入する定期保険などの保険料に関する経理処理方法が変更となりました。新たな経理処理は、19年7月8日以降に加入の契約を対象として適用されます。

 これにともない、弊社の場合では、お取引先の生命保険会社11社より7月にご案内をいただき、概ね8月より法人向け保険商品の販売を再開することとなりました。そのなかで大きく変わった点を2つ取り上げたいと思います。

 まず1点目は、お客さまに「顧客向けの注意喚起文書」を交付して説明することになりました。「顧客向け注意喚起文書」では法人向け保険商品の加入にあたって、(1)目的については「保障」などを目的とする商品であること、(2)効果については原則「節税効果がない」こと、(3)趣旨については保険本来の趣旨を逸脱する保険加入をお勧めしないこと――以上の3つを十分に説明し、確認していただいたうえで、お申し込みをいただくことになっています。

 2点目は、法人保険における保険料の経理処理が変更され、支払保険料の損金算入割合が大幅に縮小されたことに加え、支払期間などがより複雑になった点です。最高解約返戻率が『50%以下』『50%超70%以下』『70%超85%以下』『85%超』と4つに分けられ、それぞれの場合の支払保険料の資産計上期間と資産計上割合が定められています。結果的には、1点目の効果についての「節税効果がない」という点にも合致します。複雑化したことで、各保険会社が公表している資料にも、保険加入に際しては「資産計上の額については、所轄の税務署や税理士にご確認ください」という旨の注釈が記されています。同じく保険会社の担当者とも打ち合わせることが、今まで以上に必要になると思います。

 このように、法人向け保険商品は大きく方向転換しました。近年の全額損金商品中心の提案から、事業保障や相続、事業承継、役員退職金、弔慰金、福利厚生などのニーズの確認および分析をきめ細かく行う、コンサルティング型の提案が中心になることと思います。

 6月以降、弊社にも税理士や会計士の方々から、法人向け保険商品に対する問い合わせを多数いただいております。説明会を随時行うことで今後ますます連携を深め、より精度の高いご提案に注力したいと考えております。

 皆さまも8月以降の法人向け保険商品の販売再開にあたり、現在ご加入の保険の目的や効果について、点検されてみることをお勧めします。

<プロフィール>
玉井 省吾(たまい・しょうご)
(株)アンツインシュアランス 代表取締役社長

 1965年生まれ。長崎出身。88年、福岡シティ銀行入行。県内外の支店に勤務し、中小企業の法人営業を担当。事業者に対し、事業融資、経営アドバイスを行う。99年、外資系保険会社に入社し、ライフプランナーとして勤務。その後、保険を活用した経営コンサル業を開始。2018年1月より現職。

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