開発抑制で豊かな自然を残し、良好なコミュニティを醸成
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存在感放つトリアス&コストコ
久山町は北が新宮町と古賀市に、東側が宮若市に、南側が篠栗町と粕屋町に、西側が福岡市東区と隣接している。町の面積は37.44km2と糟屋郡内では篠栗町についで2番目に大きいが、一方で人口は9,010人(2019年8月1日現在)と、福岡都市圏のなかで唯一人口1万人未満の自治体である。
町内の東部エリアはほぼ山地となっており、町域の3分の2は山林である。平野部は町内の南西部エリアに固まっているが、町域の約97%を市街化調整区域に指定するなどの町の政策もあって、都市化はそれほど進んでおらず、田園風景が広がっている。
交通インフラ面では、筑紫野古賀線(県道35号)と福岡直方線(県道21号)の2本の県道が町の主要幹線道路としての機能をはたしている。町内に鉄道駅はなく、公共交通機関としては西鉄バスとJR九州バスが町内の一部を走っているが、大部分はコミュニティバス「イコバス」によって補完されているかたちだ。
町内で、一際存在感を放っているのは、ショッピングモール「トリアス」だ。1999年4月に開業した同施設には、シネコンやホームセンター、食品スーパーなど多様な業態が軒を連ねている。なかでも、日本第1号店として開業した「コストコ久山倉庫店」は、近隣だけでなく、遠く県外からも客を呼び込むほどの集客力を誇っており、このコストコの存在こそが、近隣の大型商業施設との大きな差別化のポイントとなっている。
今秋誕生「Co-village 桜の丘」
久山町では現在、町の総合戦略の1つとして、定住促進・地域活性化を目的とした「草場地区再開発事業」を進めている。同事業は町内の草場地区において、約3.2haの町有地を宅地造成し、77区画の戸建住宅の提供を行うもの。街並みを実現・維持するための街区計画や植栽などのルールの策定のほか、開発地内で菜園を整備予定など、地域コミュニティの醸成にも配慮。自然と調和したきれいな街並みを実現することで、良好なコミュニティを育むまちづくりを基本理念としている。
現在、すでに宅地造成の第1期工事は完了。今後は地元工務店やハウスメーカーなど計11社が順次住宅建築に着手し、新規分譲地「Co-village 桜の丘」として、今秋にまち開きが行われる予定だ。
町内の豊かな自然を守るため、これまで政策として過度な開発を抑制してきた久山町では、幹線道路沿いの一部を除いてあまり都市化は進んでいない。住戸に関しても、大型のマンション類はあまりなく、戸建志向で住民の定住者率が高いという特徴がある。「Co-village 桜の丘」も、そうした同町の戸建需要を受けてのものだろう。
豊かな自然を保全しながらも、必要に応じて住環境としての町の魅力を高める開発は行っていく。前項のインタビューで久芳菊司町長が語っていた“夢”にあるように、久山町は今後も、田舎の景観をもちつつも都会的な文化の享受が可能な、異なる魅力が同時に存在する町として、福岡都市圏における独自のまちづくりを進めていくことだろう。
【坂田 憲治】
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