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2019年09月20日 07:00

日本経済の飛躍のカギ“水力(ウォーター・パワー)”(2) 未来トレンド分析シリーズ 

国際政治経済学者 浜田 和幸 氏

世界から熱い視線を送られる日本の技術

日本の浄水技術はトップレベルである

 世界の淡水化ビジネスは年14%の伸びが見込まれているため、水質汚染の防止や逆浸透膜を利用した海水の淡水化や排水の浄化再利用に欠かせない技術をもつ日本企業に対する期待は高まる一方である。

 たとえば、中東諸国にとって“命の水”ともいえる資源を供給する海水淡水化ビジネスに関していえば、日本企業が圧倒的な存在感を示している。

 実は、世界の海水淡水化マーケットで日本は60%近いシェアを誇っている。言い換えれば、世界中で約10億人が日本の技術でつくられた真水を飲んでいるわけだ。もちろん、世界の水企業は激しい市場争奪戦を繰り返しており、なかには日本の技術を模倣し、低コストで市場拡大を狙う海外企業も存在している。決して安住はできないだろう。

 なぜなら、水プラントの製造メーカーはヴェオリア、スエズ、シーメンス、GEなど、いわゆる「ウォーター・バロンズ」なのだが、彼らは日本の水技術がなくてはプラントの設計ができない。そのため、日本の水テク・パワーを自分たちのものにしようと虎視眈々と狙っているからだ。

 日本の技術や商社の活躍により、世界の人々が水という資源を有効活用できる可能性が広まっていることは誠に心強い限りである。それゆえ、欧米のウォーター・バロンズからすれば、このような日本の技術はのどから手が出るほど欲しいのだ。

 モンサントを始め、ダウ・ケミカルやGEなど、欧米の大手企業は株式の時価総額で圧倒的に有利な立場であることから、このような日本企業への水面下での買収攻勢を進めている。いつ何時、そのような買収攻勢が表面化するかは予断を許さない。すでに日本の水関連企業の主要株主には外国人投資家が名を連ねている。

 日本とすれば、「水を生かし、つくり、守る」という技術的優位性に立脚した総合的水資源戦略を練り上げ、世界の水研究とビジネスの中心を目指すと同時に、そのような水テク・パワーをもつ企業の防衛策も構築すべき時である。

 これまで日本は政府開発援助(ODA)を通じて、途上国へ資金と技術援助を重ねてきた。そのうち、長期の円借款分の20兆円が償還期日を迎えており、今後毎年1,000億円の単位で我が国に返済されることになる。こうした資金も世界の環境浄化に有効活用すれば、“水関連技術大国・日本”の国際的評価は一気に高まるだろう。

日本の課題とは

 とはいえ、水ビジネスに関しては克服すべき課題も多い。第一に、日本は世界に冠たる技術大国であるにもかかわらず、市場開拓という国際競争力の面では欧米諸国の後塵を拝しているからだ。

 第二に、食糧自給率が30%近くにまで低下していることの結果として、海外からの食糧輸入が増え、結果的に「バーチャル・ウォーター(間接水)」を大量に輸入していること。第三に、急成長を遂げる中国における水不足と汚染が日本に悪影響をおよぼしていることである。日中間の尖閣諸島問題も水を始めとする資源争奪戦の前哨戦という側面が否定できない。

 まず、第一の水ビジネスに関し、日本に国際競争力がないことについて考えてみたい。これまで日本の水関連企業は汚水の浄化、節水やリサイクルの技術、海水の淡水化に欠かせないRO膜の技術などで、世界の技術開発をリードしてきた。たとえば、水源地のないシンガポールにとって、海水の淡水化や家庭、工場の排水の再利用に不可欠な浄化システムはほとんど日本発の技術でまかなってきた。中近東や北アフリカでも、日本の水技術は高く評価されている。日本が天然ガスを輸入するカタールにおいては海水の淡水化プロジェクトは日本企業の独断場となって久しい。

(つづく)

<プロフィール>
浜田 和幸 (はまだ・かずゆき)

 国際未来科学研究所主宰。国際政治経済学者。東京外国語大学中国科卒。米ジョージ・ワシントン大学政治学博士。新日本製鐵、米戦略国際問題研究所、米議会調査局などを経て、現職。2010年7月、参議院議員選挙・鳥取選挙区で初当選をはたした。11年6月、自民党を離党し無所属で総務大臣政務官に就任し、震災復興に尽力。外務大臣政務官、東日本大震災復興対策本部員も務めた。16年7月にネット出版した原田翔太氏との共著『未来予見~「未来が見える人」は何をやっているのか?21世紀版知的未来学入門~』(ユナイテッドリンクスジャパン)がアマゾンでベストセラーに。

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