全額損金の法人保険で一生の個人保障を手に入れる（後）

　さらに掘り下げて試算をしてみます。40歳の時に加入した個人契約の医療保険とがん保険のケースで見てみましょう。

　保険料の累計額は40歳男性の平均「余命」の82歳とします。（平均寿命81歳は0歳児男性の平均余命のことです）77,652円×42年＝3,261,384円（40歳の時に契約しているので平均寿命まで生存されていたら42年間におよび保険料を支払います）となります。

　次にがん保険を計算してみます。がん診断給付金とがん入院給付金だけを契約できる無駄な保障の少ない商品で考えてみます。

　保険料の累計額は先ほどと同じ40歳男性の平均「余命」の82歳とします。43,476円×42年＝1,825,992円となります。

　医療保険とがん保険を合わせると一生涯で支払う保険料は3,261,384+1,825,992＝5,087,376円となります。法人契約の実質的な保険料は3,272,046円ですので、個人契約より1,815,330円もコストカットでき、支払いも10年で終わりますので老後の年金生活に入っても保険料の手出しは1円も要りません。

　キャッシュフローには注意が必要ですが、利益圧縮が必要のない法人でもこのプランを活用すれば、税効果を抜きにして個人契約よりも203,726円お得になります。ご夫婦分や役員の方の分も導入していただくと効果もさらに大きくなります。

【留意点】

　ここで、1点、このプランを活用する際の留意点があります。法人契約、法人受取のこのプランは、法人で保険料をお支払いされている間（個人に名義変更する前まで）は、入院や手術をされて給付金を受け取った場合に、法人に雑収入（益金）で経理処理することとなります。

　そのお金を個人の経営者や役員にお出しする場合は「見舞金」（損金）として支払う必要がありますので、注意が必要です。社会通念上妥当な金額という国税不服審判所の裁決例があります。（2002.06.13裁決）

　過去の判例を基に解釈すると5万円相当が妥当との見解が示されており、過大な見舞金は役員賞与などとみなされてしまうこともあるかもしれません。慶弔見舞金規程などで役職などにより見舞金額を変えるなどの対策をしっかりしておくことも重要です。

　また、法人で支払っている間は個人契約を残しておくことも検討されてもいいかもしれません。個人契約・個人受取の医療保険やがん保険の給付金は非課税です。

　今回は法人契約の全額損金保険の活用方法（医療保険・がん保険）をお伝えしました。10月8日以降の契約については全額損金算入のメリットが減ってしまいます。（金額の上限が制限される、期間の経過に応じて損金算入する等）医療保険やがん保険を個人で契約されている方は最後のチャンスとなります。また、すでに医療保険やがん保険を法人でご契約されている方に関しても、この機会に払込期間や内容を確認されてみてはいかがでしょうか。

（了）
【アンツインシュアランス　長島 啓之】