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2019年10月16日 15:08

【特別連載】断たれた絆~幻の「浪川会壊滅作戦」の舞台裏(4)

■大物事件屋に中嶋氏排除を依頼か~NHK記者も同席?

福岡県警大牟田警察署
福岡県警大牟田警察署

 名誉毀損という軽微な事案で、福岡県警大牟田署はなぜ諸藤壮一氏(有限会社くるまドットコム代表)を逮捕までしたのか。その背景に「幻の浪川会壊滅作戦」があったのでは、とみるのは県内の暴力団事情に詳しい弁護士だ。

 「福岡県警は昨年11月に〈筑後地区暴力団集中取締本部〉を設置しており、道仁会と浪川会の取り締まりを強化したうえで上層部の逮捕(頂上作戦)を狙っていました。大牟田署としても、両組織の分裂抗争の時に起きた未解決事件の解明を含め、かなり本気で浪川会壊滅作戦を練っていたはずです。そこに諸藤氏が中嶋(全克)氏の〈パワハラ自殺〉疑惑を中心に情報をもたらしたことで一気に色めき立ち、中嶋氏を逮捕することで未解決事件の端緒にしようと攻勢をかけた。しかし、いくら捜査してもパワハラ自殺の立件はできず、一方で特定のネットメディアが執拗に恣意的記事を垂れ流したことで現場がかなり混乱したと聞いています。しかも諸藤氏が提供した情報のほとんどが嘘や誇張であることがわかり、大牟田署はそうとう頭にきていたはずです。諸藤氏逮捕の背景には、幻に終わった浪川会壊滅作戦の意趣返しという意味もあるのではないでしょうか」

 要するに、諸藤氏は中嶋氏に対する個人的な恨みを中嶋氏が経営する企業で起きた3件の自殺に結び付けて「パワハラ自殺」をでっちあげ、中嶋氏の過去(浪川会の前身である「九州誠道会」系組長)に関係づけた情報提供を行って、「浪川会を潰す」といきり立つ大牟田署に無駄足を踏ませたということなのだ。大牟田署としても、これ以上情報提供者として諸藤氏を信用することはできず、名誉毀損という軽微な事案で逮捕したのはその意思表示だった可能性もある。

大牟田市内の中嶋氏の関係先には、大物事件屋「X氏」の関係者とみられる不審な人物が訪れていた
大牟田市内の中嶋氏の関係先には、大物事件屋「X氏」の関係者とみられる不審な人物が訪れていた

 諸藤氏は大牟田署に中嶋氏関連の情報を提供するのと並行して、2018年11月19日から数回にわたって都内のホテルに宿泊しているが、その際に九州を中心に活動する大物事件屋「X氏」の名前で予約を入れていたことがわかっている。中嶋氏を含めた名誉毀損の被害者が開示請求した判決で証拠が出ており、諸藤氏が「爆サイ」に書き込みをした際のIP(註)開示請求から都内の某ホテルで使用されたIPが特定され、改めてホテルへ開示請求をおこなったところ諸藤氏が「X氏」の名前で宿泊予約していたことが判明したのだ。

(註:Internet Protocol=ネット上の住所のような役割を果たす識別番号)

 X氏と諸藤氏は、今年3月上旬にも神戸市内のホテルで接触している。X氏はかつて怪文書を用いて企業を攻撃したことでも知られた人物であり、中嶋氏を攻撃する大量の怪文書がばら撒かれたことを「偶然の一致」とみるのは、いささか初心(ウブ)に過ぎるだろう。神戸での「密会」にはNHKの記者複数名とネットジャーナルのY記者が同席していたという情報もあり、Y記者が朝日新聞西部報道センター社会部のE記者と連れ立って大牟田署を訪れた姿も目撃されている。

 中嶋氏は今年1月、「元暴力団組長の経営者がパワハラを行い、従業員3人が自殺した」という、ある意味ではわかりやすい事件の容疑者として(別件)逮捕され、経営する企業の家宅捜索などが地元ニュース番組でも流された。しかし、中嶋氏を異常なまでに敵視する諸藤氏の存在、さらに諸藤氏と大物事件屋「X氏」を結ぶ線、そしてそこにぶら下がる大手マスコミの構図を俯瞰すれば、大牟田の町を騒がせた「パワハラ自殺事件」もまた、違った様相を見せ始めはしまいか。

 「あいつら(Y記者など)がうるさくてかなわんかった」というのは、大牟田署のある刑事の言葉だ。

■謎の残る「パワハラ自殺」の真相

有限会社くるまドットコム代表・諸藤壮一氏(タイ国で撮影されたもの)
有限会社くるまドットコム代表・諸藤壮一氏(タイ国で撮影されたもの)

 中嶋氏をめぐっては昨年、経営する不動産会社の従業員が3人も自死していることから、「中嶋氏のパワハラが自殺で亡くなった背景にあるのでは」とする疑惑が取りざたされていた。

2018年5月7日、I氏自死/同8月23日、M氏自死/同10月23日、K氏自死

 大牟田署は今年1月29日に暴行容疑で中嶋氏を逮捕したのを皮切りに、2月19日に傷害容疑で再逮捕、3月13日に犯人蔵匿で再々逮捕、4月10日に強要容疑で逮捕するなど、計4回にわたって中嶋氏を逮捕している。中嶋氏が120日を超える取り調べを経て保釈されたのは5月30日だった。

 別件逮捕を繰り返して身柄を押さえ、その間に関係者らの証言や証拠を上げるという、暴力団捜査でよくみられる手法だが、大牟田署は結局思うような成果をあげていない。

 亡くなった従業員について、もし自死したのであればその理由は何だったのか、さらに中嶋氏が自死に関与した事実はあるのか。中嶋氏は「(亡くなった従業員の)遺族の方も含めて付き合いが深かったので、自分から無責任にあれこれしゃべることはできない……」と口が重いが、自死した従業員のうち少なくとも1人は重度のアルコール依存症に苦しんでいた可能性が高いことがわかっている。

 じつは、「パワハラ自殺で亡くなった」とされる2人の遺族から今年6月に、地元マスコミや諸藤氏に対して申入書が出されている。申入書は「遺族はパワハラによって亡くなったとは考えていない、二度と報道しないでほしい」旨が記載されているが、中嶋氏が逮捕された際には大々的に報じた地元マスコミは、このことを報じていない。さらに、3人の自死についてネット上に「中嶋氏によるパワハラ自殺だ」と大量の書き込みを行った諸藤氏は、代理人の申入書に回答しないばかりか申入書の受け取りすら拒否しているという。

 「〈パワハラ自殺〉とテレビなどで報道されて大騒ぎなりましたが、じつはあの騒ぎの後に辞めた従業員は1人もいないんです。中嶋社長の過去が報道されたときには確かに驚きましたが、このあたりに住んでいれば、飲みに出たときにそういう人たち(ヤクザ者)と席が隣になることなんてしょっちゅうありますから気にしていません。中嶋社長は、社員の家族が入院した時には遠くから駆けつけて『いろいろかかるだろうから』とお金を置いていくような、そんな人情味がある人です。会社の福利厚生もきちんとしていますし、几帳面で有能な経営者だという評価は変わりません」(中嶋氏が経営する企業の女性従業員)

(つづく)
【特別取材班】

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