2024年03月29日( 金 )

【凡学一生のやさしい法律学】関電報告書の読み方~関電疑獄を「町の法律好々爺」凡学一生がわかりやすく解説(15)

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内部調査報告書の逐条解説

(5)コンプライアンス委員会の権限と義務

 内部機関であるコンプライアンス委員会は企業活動における法令順守の実行状況を監視し必要な助言を取締役会および関連部門に進言助言することが基本的な役割である。しかし、本件はすでに発生した、ないし、絶えず発生した具体的な役員重職者による収賄行為であるから、コンプライアンス委員会のなすべき行動は決まっている。収賄事実の詳細な調査報告である。その行為の法的判断、違法判断の必要性はまったくない。違法性は誰の目にもあきらかだからである。「不適切」というような曖昧な意味不明の用語を駆使すること自体、隠蔽・ごまかしの意図が感じられる。

 従って、同書がその大部分を費やした発注工事の金額の適切性・妥当性の記述―それは収賄行為と発注との間には因果関係がないという主張であり、賄賂は収受したが、それに応じて過剰利益を含む不正な発注はしていない、枉法賄賂罪には当たらないという主張を゛具体的事実・証拠を提示することなく″繰り返したものである。この論法・論理自体が成立しないことは前述した。

 コンプライアンス委員会はその業務遂行上必要に応じて違法判断は行うべきであるが、有罪判断、刑事裁判の見込みなどまったく不要である。しかし、関電のコンプライアンス委員会は発覚した虞犯取締役らの不正行為を検察の起訴や世間の批判から防御するためだけに努力しており、つまり犯罪行為の矮小化をもっぱら目的として行動してきた。これは文字通り、関電の虞犯役員の法律用心棒としてのみ活動してきたものと断言できる。

 再発防止のためには厳重な違反者の処罰が必要であり、その為には正確精密な事実調査が必要である。

 関電のコンプライアンス委員会がまったくこの責務を果たさず、むしろ、すべてに曖昧な対応をして虞犯取締役の擁護に終始した。問題の本質の重大性・深刻性を暗示している。

(つづく)

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