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2019年11月06日 13:56

イオン流とローカライズで事業を展開 アジアにおける成長機会を獲得し(後) イオンの逆襲 

カンボジアではブームを巻き起こし、人が押し寄せる大盛況

 カンボジアは青空市場や旧態依然とした百貨店があるくらいで商業は遅れていた。そこに14年6月、「イオンモールプノンペン」が出店したことで、今まで目にしたことのない新しい「ショッピングモール」が出現、消費行動が変わるという社会文化が変容したことを意味する「イオン前、イオン後」という現象も起こった。イオンモールは現地の人たちにとって衝撃的な体験をもたらした。

 カンボジアはアジアの最貧国で中間所得層も薄いため、オープン前は、どこまで需要があるか一抹の不安があったが、出店してみると富裕層の来店も目立ち、物珍しさもあって賑わい、カンボジアの人口は約1,600万人だが年間約1,700万人も来場した。

 18年5月には、2号店となるプノンペン北部に「イオンモール セン ソック シティ」を出店した。敷地面積は約10万m2、総賃貸面積は約8万5,000m2、核店舗はイオンのGMS、サブ核はシネコンとテレビの収録スタジオ、専門店は209を数える。10km圏内で約34万世帯約174万人を対象とするRSC(広域型ショッピングセンター)。カンボジア最大のアミューズメントコンプレックスで、行政や金融の窓口、多目的なイベントスペースなどを備えたマーケットニーズを先取りした最新施設だ。さらに、23年には、地元デベロッパーING HOLDING社が進めるプノンペン最大級の総合開発「ING City」の中核施設として出店する予定。

 賃貸契約が3年の定借なため、14年、15年にオープンした既存店舗のリニューアルにも着手している。日本と同じようにテナントの入れ替えや、駐車場の増設などを行い、同じ顔ぶれだとどうしても飽きられるので、ニーズを見極めながら、フィットネスクラブや飲食店など新しいものもどんどん入れていく考えだ。

 リーシングをするうえで、熱帯モンスーン気候で気温が高いため、日本と比較して衣料をあまり買わず、バッグなどの服飾雑貨がよく売れる、外食が盛んといった違いがあるため、飲食比率を高めるなどの対応策も講じている。売れるテナントを誘致できれば賃料もアップし収益性の向上にもつながり、モール内のサイネージを使った広告などによる付帯収入も見込めるようになる。

 ただ、アセアンマーケットでも競合はある。そこで日本流の手法も採り入れてライバルとの差別化を図る。「いらっしゃいませ」とあいさつをいう習慣はなく、接客という概念もないため、ロールプレイイングコンテストを開催するなど動機づけし、接客サービスの向上を図っている。イオンモールは小売発のデベロッパーとして、「お客様第一」で、快適、安全、安心で楽しい施設にすることで優位性を強めていく。テナントオーナーとのミーティングも毎月開催し、コミュニケーションの円滑化を図っている。

 持続的に事業を継続していくためには経営のローカリゼーション化も必要だと考えている。日本人の駐在スタッフは40人だが現地スタッフは450人と10倍以上。2、3年後はゼネラルマネージャーに登用も視野に入れて、人材育成に取り組んでいる。

 日本以上に時間消費対応に力を入れ、「ウォーターパーク」「アクアリウム」「室内遊園地」「シネマ」「ボーリング」「コンサートホール」「テレビスタジオ」「ゲームセンター」などで構成されるカンボジア最大のアミューズメント集積を実現した。「多目的イベントホール」「フットサルコート」も備え、各種イベント、結婚式、会合などを行う。また、「パスポート発行センター」「IDカード発行センター」「運転免許更新所」などの行政機能や5つの銀行、 14のATM、生命保険といったフィナンシャルゾーンも設けている。

 核店舗のイオンは、新たなライフスタイルを志向する20~30代のファミリー層をメインターゲットとし、「共働き家庭の忙しい毎日へのサポートと週末の楽しい買物体験」を提供する。ある意味、国内より進化した施設で、収益面でも昨年度から営業利益ベースで黒字化、19年度は75億円を見込むなど投資回収の段階に入ってきている。

既存モールに手を入れながら25年まで70モール体制に

 既存モールの活性化を行いながら、今後3年間で、中国8モール・アセアン3モールの計11モールを出店、2025年までに、海外事業の営業利益350億円・営業利益率20%を目標に70モール体制と現状の国内事業と同等の効率と規模を目指そうとしている。

 さらに、ミャンマーではスーパーマーケット事業を展開するなど、新たな市場も開拓しようとしており、事業領域の拡大にも力を入れる。国内での成功モデルを現地に合わせてローカライズでニーズに対応し需要の取り込みを図る手法が当たっており、今後はデジタル化も進めて、国内より進化したビジネスモデルを構築しようとしている。

(了)
【西川 立一】

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